不可解な熱
3
普段どこか清純で、穢れのない諒がこうして自分のものを愛しそうに愛撫する姿など想像すら出来ない。
自分が喘がせ、啼かせる姿は白昼でも思い浮かべれるのに。
「諒・・・、諒・・・・・。」
一心に加賀谷のものを舐める諒の髪を手で梳き、そのまま顎まで撫でていく。
それすら快感を呼ぶように諒が震え、吐息が聞こえる。
「っ・・・・。」
射精を促すように強く吸い上げられ、持っていかれそうになるのを堪えて加賀谷はハッと目 を見開いた。
「ちょっと待て!お前こんなの何処で覚えてきたんだ!?」
まだ自分の気持ちを自覚する前、何度か諒に口でさせたことがある。
その時はまだ拙くて、どうしていいか分からないといった風だったのを覚えている。
幼稚な愛撫に愛しさを感じたことくらいだ。
それがどうして、今加賀谷に施しているのはまるで誰かに教えられたとしか思えないほどに上手く、的確だった。
「お前・・・、まさか誰かと・・・?」
ぎりっと奥歯を噛み締めると、顔を上げた諒が不思議そうに見詰めてきた。
「誰って・・・、誠人さんが・・・・。」
「俺が!?教えてないぞっこんなこと!」
手を伸ばして諒の首を掴むと、楽しそうにくすくすと笑い出した。
「何が可笑しい・・・・、お前浮気してたのか!?」
「違うよ、だって僕毎日誠人さんにされてるもの・・・。同じ事を、しただけだよ。誠人さんが僕にしてくれるように・・・・、僕も誠人さんにしたい・・・。」
うっすらと目元を赤く染め、潤んだ瞳で見つめられると、急激に下半身に熱が集まる。
酔っているからか今日の諒は酷く妖艶に見えた。
「僕いつもしてもらってばっかりだし、僕だって誠人さんを気持ちよくしたいもん。」
少し呂律の回らない幼稚な喋り方が普段よりも幼く、だがとてつもなく諒を淫猥に見せた。
そのまままた身を屈め、放出されるのを今か今かと待ち構えている昂ぶったものを口に含み直し、諒は舌を思いきり這わせた。
ざらざらした感触に腰が揺れ、指先から痺れていく。
甘い毒のように体中を駆け巡るのは言いようもないほどの快感だった。
小さい諒の口に出入りする己のグロテスクな物体、それを大事なもののように、うっとりと舐めあげる顔は恍惚としていて加賀谷はその顔に魅入られる。
こんな顔は今まで誰一人としてみた事がないだろう。
自分だけ。
自分だけがこの顔を見ることが出来る唯一の人間なのだ。
そう思うと優越感と、それを凌駕する独占欲を感じる。
誰にも見せたくない、誰にも触れさせたくないと心底思う瞬間だった。
「くっ・・・・、諒・・・っ。」
付け根から先端まで焦らすように舌先で舐め上げられ、上からすっぽりと口内に包まれて思わず射精しそうになるのを必死に堪えた。
諒がゆっくりと加賀谷のペニスから口を離し、身体を起こす。
そのまま腰を浮かせて手に持った加賀谷の昂ぶりを後秘に押し当てる。
「待て・・・・、慣らしてないのに挿れたらお前が・・・。」
「いい・・・・、大丈夫だから・・・。」
起き上がろうとする加賀谷を片手で押し止め、ぐっと身体を下ろした。
「んっ・・・・、ああっ!」
やはりきついのか諒の顔が顰められ、苦悶の表情を浮かべる。
だが口を半開きにしたその顔に加賀谷は一瞬見惚れ、ぞくりと背筋が震えた。
「ふ・・・ああ・・・。んぁっ・・・。」
腰を掴んだ加賀谷の手に自分の手を重ねて諒は腰を浮かべる。
常にない諒の積極的な行動に虚をつかれながらも、加賀谷もまた諒に負けないほど興奮していた。
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