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不可解な熱
6




浴室から寝室へと移 動してからも加賀谷はおさまらずになおも諒の身体に舌を這わせる。

敏感になってしまった身体はいとも簡単に加賀谷の愛撫に感じてしまい、身体の芯が熱く燃え上がってしまう。

「諒・・・・、諒・・・・。」

何度も諒の名前を繰り返し、愛おしむように、慈しむようにその身体を撫で回す。

優しく撫でられているのに、加賀谷の指先から熱く滴る情熱が諒に伝わってきて、諒は堪らずにその指をとり、口付けを落とした。

「誠人さん・・・好き・・・・・。僕、おかしくなりそう・・・・。」

とろんとした目でそう呟かれて、一瞬加賀谷は息を飲んだ。

そしてごくりと咽喉を鳴らすと、噛み付くように唇を貪り、諒の頭をかき抱いた。

「俺はもうとっくにいかれてんだよ・・・・。愛してる・・・。」

諒の髪を梳きながら、顔中に唇を落とす。

そしてニヤリといつもの不遜な笑みを浮かべ、口を開いた。

「知らない人についていってはいけませんって、小さいころ教わらなかったか?それに俺が居ない時に誘われてほいほい飲みにいくとはいい度胸だな・・・、諒。」





お仕置きと称したそれは朝方まで続き、翌朝起きると諒は腰が抜けて立ち上がることが出来なかった。

電車での事、柳瀬女史に誘われてついていったこと。

それがいくら不可抗力であっても、加賀谷にとっては気に食わないことだったらしい。

いつもより執拗な愛撫に気が狂いそうになりながら諒は懇願と謝罪を繰り返していた。

やっと解放されたとき、すでに夜中の4時は過ぎていただろう。

死んだようにそのまま眠りに落ちた諒の身体は、朝起きると綺麗に清められていた。

目を覚ますとすでに加賀谷は起きていたようで、リビングから珈琲の匂いが寝室まで香っている。

そちらに行きたくても、腰が抜けて足が震えて立ち上がれない。

そのままベッドに座り込み、諒は溜息を吐いた。

だがそれは辛い溜息ではなく、幸せが詰まった溜息だった。

「諒?起きたのか。」

ベッドの座り込んだままの諒を見て、加賀谷は面白そうに笑ってから諒を抱き寄せた。

誰のせいだと思い、頬を膨らませる諒にまた笑ってから加賀谷は額にキスを落とす。

「今日は休んでいいそうだ、ゆっくり寝ていろ。俺は今から神戸に戻らないといけない。柳瀬さんが仕事が終わったらここに来てくれるから。客室に布団は敷いておいた、そこに案内したらいいから。」

「柳瀬さんが?」

「俺が戻るまでここに泊まってくれるそうだ。だから心配しなくていい。」

なんでもないことのように言う加賀谷に呆気に取られて惚けていると、苦笑が降りてきた。

田村や他の社員にさえ牽制するような加賀谷が、柳瀬女史をこの部屋に泊めると言い出したことが不思議で、信じられなかった。

「柳瀬さんはお前をおかしな目 で見てない、弟か妹みたいな。いや、ペットみたいな感じか・・・?」

笑いながらそういう加賀谷にむっと顔を顰めると、それを宥めるように頬を撫でられる。

「俺の目は節穴じゃない、誰がお前を変な目で見てるかは俺が一番よく知っているんだ。 それに柳瀬さんはああ見えて有段者だしな。」

空手と柔道に青春時代を費やしたというのは会社では有名な話だった。

細くて諒とそうかわりない体型なのに、意外と腕っ節は強い。

「柳瀬さんがここに居てくれたら俺が安心だ、だから俺が戻るまで柳瀬さんにお前を頼んだ。」

「僕一人でもだいじょう・・・・。」

「駄目だ、どうしても嫌なら実家か、兄貴のところに行くか?」

過保護な加賀谷の発言に項垂れながら諒はそれはもっと困ると首を振った。

実家は会社に遠すぎるし、兄のところに行ったら加賀谷が戻っても帰らせてもらえない可能性が高い。

一人でも大丈夫という言葉は今はきっと信用してもらえないだろう。

あんなとこがあったばかりなのだから。

仕方なく加賀谷の提案を受け入れ、早く帰ってきて欲しいと呟くと、それに答えるように唇が合わさった。






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