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秘姫2
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[秘姫]

「ねぇ、とりあえず座らない?」
「えっ?あっそうね」
二人揃って猫足がおしゃれな椅子に腰掛ける。その時自己紹介が、まだだったことに気付く。
(そうだよね。いくらなんでも何者かわからない人に言えないよね)
議長に保護されているってことは少女もわけ有りなんだろう。
「あたしは、ミーア。ミーア・キャンベル」
少女の瞳が困惑で揺れた。
(そうよね。今のあたし、どこからみてもラクス・クラインだもんねぇ)
「議長に言われてラクス様の代わりなの。ねぇ、あなたは?」
「私は、…元地球軍で…」
「ふぅ〜ん。それで、なんでプラントに?あっ、もしかして追われていたの?」
「まぁ…」
実際、追っていたのはザフトの方なのだが、そんな事を言えるはずもなくフレイはあいまいに笑った。
「ねぇ、名前は?」
「フレイ。フレイ・アルスター」
「可愛い名前!!」
「ありがとう」
フレイは薔薇の蕾が花開くようにふわりと笑った。
(綺麗…。この人本物のお嬢様だぁ)
自分の付け焼き刄の演技とは格が違う。華やかな存在感を感じてミーアは目を輝かせた。
「フレイさんは、ラクス様と会ったことあるの?」
好奇心いっぱいのミーアに複雑な表情で一度だけと答えるフレイ。
「うそっ!ねぇ、あたしどう?似てる?」
ミーアは、すくっと立ち上がるとにこやかな笑みでスカートの端を持ち上げ
「こんにちは、ラクス・クラインですわ」
優雅にお辞儀をした。
「どう?どう似てる?」
「う…うん」
「ほんと!?やだ、嬉しいっ!」
体全体で喜ぶミーアにフレイはどこか寂しげな目で問い掛けた
「つらくないの?」
「どうして?」
「だって、ミーアさはミーアさんなのに…‥」
フレイの言葉の意味がわからず首を傾げるミーア。意味はわからないが、それがフレイの優しさだとわかったのでミーアは笑う。
「あたし、ラクス様が大好きだったの!そのラクス・クラインなんだよ!!歌も歌えるし、それでみんなの役に立つなら最高でしょ?」
フレイはまだ、哀しげな顔のまま「そうかもね」とだけ応えた。その瞳の色があまりに儚なげでなんだか放っておけ無かった。
「フレイって呼んでいい?あたしの事もミーアって呼んでね」
「えっ、うん」
「よかった!議長に選ばれてから中々同じ位のこと話す機械なくて…ねぇ、友達になろうよ!?ね?」
「えぇ」
フレイはゆっくりと、あの花のような笑みを浮かべた。


世界果つる時へ 続く

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