「へっへー! キタぜニュースクール!」
18クラスもあるっていうし、これは早速運命の出会いが……!
「転校生を紹介します」
「先生ども! んで塩野アサリです! よろしくお願いしまーす!」
んあ? リアクションうっす……まいっか!
「塩野君は一番後ろのあの席ね」
「はーい!」
後ろ側の席か〜!
つか、え? ”おまえあの席ダイジョブ?” って皆の視線──気のせい?
「あっ! そーだ! もしかして転校生を試す足引っ掛けがあるのでは〜!?」
コイツは下向きながらゆっくり歩かねば〜!
「キモ……」
え!? キョド!? キモ? わかんねーけど女子ちゃんに呟かれてしまった〜!
「よしよし、一番後ろのこの席な……ハァ〜やっと辿り着いたぜ〜……ん?」
「おまえ……俺のアゴ見たか……今」
な、なんだこの平成のヤンキーは!?
っか〜オレの隣の席かよ……やれやれ女子ちゃんに囲まれてえてのに……。
「え? う、うん……」
「上等だテメー……」
「マジか! んノォ〜!! いきなりナンなのこのヤンキー!! 見たら何が悪いんだ〜!!」
ヒィイ襟首掴まれちまって転校二分でハードモード!
「下からゆっくり見上げたらアゴだってホッペだって目に入るじゃん!」
「んだ早くそう言えよ」
「うるせーいきなりトバしやがってクレイジーパツキンが〜!」
ったく……クラスの女子ちゃんもちょいドン引きしてっし!
つうか隣のアゴギレヤロウ早速席立っちまうし。
「ハァ? ほーむるーむあんじゃんよ? フケんのかよ?」
「おー」
行っちまうし……不良か〜恐るべし……。
ま、俺はヤンキーなんかより女子ちゃんと絡みてえ〜!
「つうか襟首掴まれてアイタタタ……」
「ちょっと大丈夫?」
「んあ? このくれーダイジョブだけど……」
ナニー!? 早速女子ちゃんに声掛けられっとか、フォーリンラブな予感!
「いや、アイタタタ……殴られてもナンもねえけど、ハンカチとかあったらアイタタタ……別にケガもしてねえけど、貸してくれたらなあ〜アイタタタ……」
「なにチラチラ見てんのキモ……」
「なんだってー!?」
くそう! いいニオイのするハンカチをお借りしたかったのにィ〜!
「つうか不良にケンカ売るとか……転校早々」
「ナニ〜? やっぱ心配してくれて〜!」
「キメェんだよ!」
「アイター!」
抱きつこうとしたらビンタ食らっちまった〜!
がっつきすぎたか!?
「おい、ナニ雑魚と話してんだよ……」
「な!? ザコ!? 俺が!?」
「俺の女にナニか用かよ転校生?」
今度はビンタ女子ちゃんのカレシに絡まれて〜!
つうかカレシ居たのかよチックショ〜!
「ナンもね〜よ! でも、デキたら可愛い子と〜ちょっと下心アリアリで〜俺ってば彼女もいないしさ〜合コンとか呼んでほしーみたいな〜?」
「キメェんだよゴラァ!」
「ウォオオいきなり殴りかかってくんな! あっぶねえ!」
「もーいこーよこんなキモいのほっといて……」
ナニー!!
やっぱ女子ちゃんからもキモい認定! 転校早々カースト底辺に〜!?
「うう、金髪のカレシかよ……チックショ〜」
カップルが行っちまって、やっと落ち着いたぜ〜。
つうかよく見たらフリョー多いな……タダのギャル男子かと思ったら……つうかタバコ吸ってんし! ヒィ〜!
「んん?」
今廊下を通ってったのは……ナンか四人組で……一人はサングラスかよガッコで! カッケェな!
これは近くでオシャレを学ばねば〜!
廊下に飛び出て……おっいたいた!
「うぉおおお〜い!」
「あ? んだてめぇ……」
「俺? 俺は塩野アサリ! つうか全員金髪かよ〜でも、なんかオメーらはオシャレな〜」
「あ? 一年か?」
「ハイ! 転校してきたばっかで! 先輩達っすか? 可愛い子と合コンとかあったらおなしゃす〜」
「ナニこいつずうずうしい……」
「アハハバカまるだし」
うう一人には笑われて〜でもイケメン!
「やっぱ先輩らはフリョーて感じじゃないんスか?」
「ナメてんじゃねえぞ……」
「ギャー! やっぱり不良殿〜!」
「あ、逃げた」
やっべやっべ、転校五分で三回目のシメられ未遂!
「ハァ……っどーなってんだこのガッコは……!」
「ん〜ねえねえ、やっぱフリョーがモテんの? このガッコて」
「そういうワケじゃ……」
「じゃ、俺でもイケる? ど? ど?」
「まずはそのがっつき加減が……キモいと言われてるよ……」
「やっぱ底辺かよォ〜!」
休み時間、早速前の席の男子に声掛けたらこの言われザマ!
でもコイツはちょっと話しやすくていーな!
見た目も俺と一緒でマジメだし!
「名前なんての? 俺、塩野アサリちゃん!」
「自己紹介の時聞いたって……俺は志染だよ」
「おうよろしくな大親友!」
「いきなり距離近っ」
前の席はコイツ、志染で隣の席はやっぱアゴギレヤロウなんだけど……。
「そういやアゴギレヤロウあれ以来教室来てねーじゃん、やっぱ不良か〜?」
「アゴギレとか……それ言ったら多分殺されるよ……」
「だいじょぶだいじょぶ俺逃げ足速いから!」
「モテたいヤツの言う台詞じゃないよね……」
「ウッセー! せっかく青春してーのにヤロウと殴り合いなんかしてられっか!」
しっかしけっこうカワイイ子も居るな〜。
「次の授業は体育だってーし、俺のスマッシュ見せてやるぜ〜!」
「女子とは別々だよ」
「マジかよ! じゃあ教室で一緒なお着替えタイムは!?」
「あるワケないでしょ……」
「クソ〜!!」
ハァ〜ア、更衣室で着替えとかダリーな……志染のヤツ、台出す係りだとかで先行っちまったし……。
「俺も早く行って手伝うか! つうかどーこだ〜体育館はよ……第二だったか? 第一だったか?」
ま、いーや行ったらわかんべ!
「つうかマジでタバコ吸ってる金髪多いな〜フリョー多すぎだろ……おっ! ココか!」
ん? とーちゃくしたのはいーけどダーレもいねえな……まだ更衣室か〜?
「それにしてもサワ高校広すぎ問題!」
「なんだうるっせーな……」
お!? 誰か居たじゃんか!
「つうかまた金髪! しかもパンチ! 気合いがすげえ!」
「おう、わかるか?」
「お、おう……マジで高校生かよ……」
「文句あんのかテメェ〜!?」
なっ……! ヤバッ!
「グァアア〜!! 先制パンチのお見舞い〜!? っとと……っ」
「こんのヤロ〜……避けやがったなあ〜……」
「ウォオこええ! 女子のパンチならありがたく受けるけども!」
また早速シバかれ未遂かよォオ〜!
「何だテメーキメェ……」
「うがぁあまた言われた〜!」
「つうかパンピーじゃん、ほっときなよジンタンくん……」
お! コッチの帽子の彼は話しやすそ〜!
「おうここは俺ら金髪軍団幹部のたまり場だ! ザコは出てけ!」
「またザコ認定!? つうか金髪軍団!? 幹部!? なんだその青春放棄してるむさ苦しい集いは〜!?」
「テンメーこの……ナメてやがんな……?」
「ギャー! やっぱ殴りかかってくんし〜!」
「ァアア!? 避けるのだきゃーウメエじゃねえかこのクソパンピーが!」
「ったりめーだろ! 食らったら俺のイケメンフェイスに傷が〜!」
はて? 何かしんとして?
「誰がイケメンだよ……」
「ハァ!? 辛辣!」
「おいジンタンくんうるっせーよ」
「うっせーマルコッ!」
「うお!? アゴギレヤロウじゃん!」
見上げたらソコに隣の席のアゴギレ登場!
「つうかオメーも金髪軍団とかの一味なワケ?」
「テンメェエ〜だ〜れがアゴギレだって……?」
「だってアゴの件でキレてただろ!」
「テメ〜ソコから動くなよ〜」
ヒィ! ブッ飛ばしにくる構え!?
「くっそだーれが言うコトきくか〜! これは逃げるしかねええ〜!」
ヒィイここはデンジャーなたまり場みてえだしとっとと離脱を〜!
「アッ! 逃げやがった!」
「ちょっとジンタンくんつかまえとけってソイツ!」
「チッ……メンドクセーな……」
ギャー追いかけてくんな〜!
「ハァ……ッハァッ……逃げ……っつうかアゴギレくん瞬く間に二階から降りてきやがった〜!!」
くうう後ろにはパンチに帽子で前にはアゴギレヤンキー!
「で? テメー覚悟できてんのか〜?」
「……っだーからなんでアゴ見たらキレんのかわっかんねーよ!」
「察しろオラァ!」
「ギャーマジでおっぱじめやがった! 俺ぁ逃げ……っやばっ……っとと……っ」
「ちょっとジンタンくんあいつマルコのパンチ避けてんじゃん」
「ちょっと帽子の彼〜解説するよりお助け〜!」
こええええ……!
避けてっけど、ウェイト差的にもシメ技とか出されたらやべえな……!
「テメーコラ、逃げるのだきゃあ得意か〜」
「やめとけってマルコ……ダセェパンピーじゃん」
「今度は帽子の彼からダサい認定! くっそ〜! 不良どもに関わってられっか! 俺は青春するんだあ〜!」
クッソ、コイツ、マルコ……っつったか?
大振りに見えてマジ狙い正確じゃねえか!
しかもこのガタイで速ぇえし身軽だし〜!
「青春てんだよ……男ならバシッとキメて不良やれや!」
パンチの彼には男道を説かれて〜!?
くっそ〜俺は今頃女子ちゃんの体育にランニューしてキャッキャウフフしながら卓球でもしてる予定だったのに〜!
「おっ……どしたァ? オメーら!」
「ハマー!」
ん? ハマー!?
何モンだ!? 体育館の中の空気変わったじゃんか──。