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男女の仲希望──工 上の続き
昨日は鈴花さんとまさかのデート。
うん! デートしてしまったな!
帰って即効電話したら、鈴花さん、もう一回言ってくれたしな!
楽しかったって──。
「ッシァア! 早朝練習行くぞ──!」


「お、髪ちょっと短くなったか?」
「ハイ! 昨日きめきめにしてもらってきましたおはようございます!」
「おお、きめきめになってきたな」
「ありがとうございますおはようございます!」
瀬見さんと山形さんに挨拶をして、皆とも挨拶をして──鈴花さんは──。
「おはよう、工くん」
なんか、練習もできて、鈴花さんにも会える朝はスバラシイと思いました。──
「おはようございます!」
──昨日、ありがとう。
こそっとそう言ってくれたなんて──。
「イエッ! 俺の方こそ──! 楽しかったので! ありがとうございましたァア!」
帰ってから心臓ばくばくで電話したら、電話の向こうの声、いつも通りに優しかった。
俺はほんとに鈴花さんが好きだな──ッシャァアア今日も張り切ってくぞ!
「アッ! そういえば……っあの! 鈴花さん!」
ヤバイ俺の勢いが鈴花さんにのしかかってしまいそうで──でも、抑えられるか!
「あの……っ今度また、で、電話……をっ、あの、してしまっても……いいですか──!!」
うぁっ! 鈴花さんビックリして──!?
でも頷いてくれた、優しく。
「ん」
「ウォッシャァアア! してしまったらよろしくお願いします!」
「う、うん……っ」
シャァアア!!
早朝から──いや、昨日からツキまくりな俺最強──!
「ストレッチ行ってきます!」
鈴花さんがふわっと頷いてくれて──こういうの、いい。
毎日キツくてもガツガツに乗り切ってく、バレーが好きだ、もっと強くなりたいから。
そこに現れた、プラスの存在、鈴花さん。
挫けそうな時に、いちご味さんくれる鈴花さん。
好きです!
「工ってば昨日鈴花ちゃんとデート?」
「いっ……な、知ってるんですかおはようございます!」
天童さんは「おはよーん」って返してくれて、にやっとしてて──!?
「部員で見たヤツ居るみてーじゃん〜?」
「あ……っそ、そうなんですか!」
「噂してるヤツいたし〜どゆコト? どゆコト〜?」
「そ、それはですね……っ」
「あー五色ックラァ! テメーいつの間にだよ!」
「な……っ」
ばっと首を振ったら、同じ一年メンツがめちゃくちゃ詰め寄ってきた〜!
「オイ! 船津先輩と二人で歩いてたってマジか!」
「それは、まあな……!」
動かしようのない事実だもんな!
「クッ……公園でキスしてたってマジか〜!」
「いっ!?」
「そのままラブホ行ったんだろ!?」
「ら、らぁっ!?」
なっ……噂にくっついた尾ひれがいつのまにかファンタスティックな事実を作り上げて──!!? 
「鈴花さんにいきなりそんなことするわけないだろ!」
「なーんだ、ナンもなかったんだ?」
天童さんは興味津々──!?
「あの……っ公園で話したりしてました!」
天童さんは「ふうん」って言っただけだったけど、俺以外の一年メンバーは──
「なんだたったそれだけかよ?」
「つか何で公園だよ」
「偶然会って公園でデートすることになったんだ! どうだァ!」
「偶然……? それってやっぱデートじゃねえええ」
「ぐっ……なんだと!」
「つか誰だよキスしてたとかオヒレつけたヤツ〜」
く……っ! 他の一年メンツはみんな、そんな反応してストレッチ行ってしまった。
でも、本当はそれだけじゃないけどな……!
「もっと別のコト、しなかったんだ? マジでさー」
天童さんにはにやりとされてしまった!
見透かされてるのか!?
本当は公園で話してただけじゃない、手を繋いだ。──
繋いで、街を歩いた。
いろんなモノを見て、好きなものとかを話したり、鈴花さんがカワイイと思うものを知れたりした。
「それはですね……! 実は……っ」
「鈴花ちゃーん、昨日工にナニもされなかった〜?」
うぁああ天童さん、いきなりの質問を──!?
「もう、誰かが見たみたいで……けど、工くんは何もしてないよ」
──!?
ぐぁ……っ鈴花さんにとっては、手を繋ぐことくらい、何にもしてないうちなのか!?
けど鈴花さんはふふっと笑って見せた。──
「私の嫌がることは、何もね」
鈴花さん──!!
「ォオ〜! イイネ! イイネ〜!」
天童さんはおもしろそうにそー言ってたけど、鈴花さんがまたちょっと照れた顔をしたので、
期待してしまってもいいですか。──



「工が船津とデート!? ハァ!? んだそりゃ」
「ぐーぜん会ってちょこっと青春したらしーよーん」
「オイこら工〜」
「うがっ……!?」
着替えて、これから放課後の練習に向かうって時──。
突然瀬見さんに頭をぐりぐりされてしまったァ!
「昨日床屋できめきめにしてきたのにな」
山形さんが「はは」って笑ってて、天童さんは「まあまあ」って言いながら笑ってる。
「そのトコヤサンの帰りにぐーぜん会ったんでショ? ”大好きな鈴花サン”にさ〜。工、神様に味方されてるじゃんか〜?」
「いえ! 俺のきめきめなかっこよさが鈴花さんと会える奇跡を引き起こしたんですよ!」
「はあ……何言ってんのお前。単なる偶然だろ」
ぐぅあっ! 白布さんに呆れられてしまった!
「どーせ船津のことだから褒めてくれたんだろ。きめきめの髪がかっこいいとか」
「もちろんで……っがぁあ!」
瀬見さんが俺をぐりぐりの刑再び──!
「鈴花ちゃんの私服、可愛かった〜?」
「ッハイ! 鈴花さんらしくて非常に可愛かったです!」
「ブフッ! 非常にて」
「今度は是非、正式にカレシとして……! 私服を見たいです!」
「お前告るつもりか〜!」
「ぐぁああ髪ガァアア」
瀬見さんにぐりぐりされる三度目の刑が降りかかってきたァ──!
「でも、俺は……! 鈴花さんを絶対に誰にもかっさわれたくないです! 一年なのに生意気でスミマセン!」
よし──!
宣言良好──!
「五色は船津と男女の仲になりたいのか?」
牛島さん──!
男女の仲──男女の仲……それはつまり、お互いにお互いとだけ手を繋いだりしたい恋愛な関係……! 
「……っもちろんです!」
「船津はどうなんだ」
な──!?
振り向いたら、そこに──。
「ウアァ鈴花さん──ッ!? い、いつからそこに……っ」
「うおっ! 船津!」
「あの……みんなの背中に声かけようと思ったんだけど、かけづらくなっちゃって……ごめん」
そうだったのか──!
「アレ? 鈴花ちゃん今の聞いちゃった? 聞いちゃったよネ〜」
「……っうん……」
ウォオ気付いてたの牛島さんと大平さんくらいか!? 天童さんは読めません!
というか、鈴花さん、今の俺の宣言をしっかりと聞いて──!?
でも俺は……! 聞かれたって全然恥ずかしくないですむしろ聞いて欲しかったです!
「なんか、照れるっていうか……」
ふわっとはにかんでくれるとか、ありがとうございます──!
「マジかよ!」
「アレレ〜? 英太君ジェラリ?」
「あのなーそういうんじゃ……」
「照れるということは既に男女の仲というやつなのか?」
「牛島くん、あの……っ」
牛島さんの爆撃質問に鈴花さんが引き続き照れている──!
俺は何度でも、はっきり宣言します──!
「どちらにしろそうなってみせるのは俺ですから──!」
よ……ッシ!
いくら先輩達でも、譲れない気持ちです──!
アッ……! 一瞬しんとしたっ!?
「バレーも頑張れ」
「ハッ! ハイ!」
くそう! いや、これは牛島さんなりのエールだな!
まずは俺を追い越せる程の男になってから、話はそれからだってことだな!
「おい何でここで燃えてんだよ」
「単純イイネ〜」
「声でかいんだよ」
「つうかまずは船津をフォローしてやれよ」
山形さんに促されてはっとして見たら──。
「……っ鈴花さん、あの……アノォ! 俺、勝手なことばっかり言っ……てますかスミマセンでもォ……ッ!!」
ぐぁああつい突っ走ってしまったァアアそれどころじゃない鈴花さんが、鈴花さんが、目を逸らし……
て、
「あの……ほんとに、照れ、るから……」
──先に用具室行ってるね、って言い残してぱたぱた走ってってしまった。──
「ウワオ、鈴花ちゃんオトメオトメしてるネ〜!」
「お前が言うとなんかやらしく聞こえるな……」
「英太君ひどっ!!」
先輩達の声もどっか遠いくらいだ。
照れた鈴花さんの表情に心臓鷲掴みにされたみたいだ。
鈴花さんはどうなんだろうか──男女の仲ってやつに、俺と、俺と……!
なりたいって思ってくれて……っいや、調子に乗りすぎるな工!
でも、照れたってことは──!?
いや、待て、俺の爆撃好意を嬉しいと思ってくれてるだけかもしれないだろ!
「……っ今日の練習も頑張ります!!」
「じゃあ外周二倍行くとか」
「いっ!? 白布さんっ!?」
もしも、もしか、いつか鈴花さんと男女の仲というやつになれるとするならば──。
叶える前にカッコイイ俺で居なきゃな!
鈴花さん見ててください! 


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