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5(必要ないよ)



ボンゴレのアジトに着いた綱吉は、眠ったままの骸を抱き抱え、雲雀と共に執務室に向かう廊下を歩いていた。


「十代目!!どこに行ってらしたんで…」


その途中、右腕である獄寺隼人が綱吉の存在に気付き走り寄ってくる。
しかし綱吉の腕に眠る人物を見た瞬間、言葉を無くし、いくつものダイナマイトが隼人の手に握られる。


「六道…骸!!」

「隼人、それをさげて」

「…でもっ…!!」

未だ骸を仲間と霧の守護者と認めず、嫌っている獄寺は綱吉の言葉を素直に受け止めることが出来なかった。


「ねぇ…、隼人。無能な右腕なんて俺は必要ないよ。」

綱吉は獄寺へと視線を向けた。
その冷たい視線に、獄寺は膝を着き頭を下げた。忠誠を誓うように。


「…出過ぎた真似を、しました…」



その様子をずっと横で見ていた雲雀は、あまりの光景に二人を見ていることが出来なかった。


友達だと、友達の為ならなんだって出来ると言っていたあの優しい綱吉が今、その友達を脅している。
いつだって切り捨てると。



「あぁ、そうだ隼人。執務室にクロームと千種と犬を呼んでおいてくれる?」

獄寺の行動に満足したのか、綱吉は再び歩き出し、すれ違う間際獄寺に命令を下す。



「…分かりました。」

獄寺はそう言うと走り去った。


やりすぎではないか
そう告げようとするものの、獰猛な肉食動物を目の前に言葉にすることはできなかった。



「恭弥さん、骸を隣のベッドに寝かせておいて下さい」

執務室についた綱吉は抱えていた骸を雲雀に渡す。

雲雀は無言のまま骸を受けとる。


「恭弥さんも、隼人みたいにバカだったら扱いやすかったのに」


仮眠室に向かう雲雀に、思いついたように見下す言葉を発しクスクスと笑う。

雲雀は進めていた足を止めた。
足を止めた雲雀のところまで綱吉は歩くと、相変わらずきっちり着こなしているネクタイをグイッと引っ張る。



「……っ!!」

無理やり引っ張ったネクタイによって難なく近づいた雲雀の唇に綱吉は触れるだけのキスをする。


「まぁ、隼人みたいにバカだったら、近くには置かないけどね」



妖しく笑う綱吉に雲雀は顔を背けた。

もう、綱吉にとって僕だけじゃない。獄寺も骸も山本も…ボンゴレの全てが彼の駒なんだ。
何の為の駒かは分からない。
でも…ただ一つ言えることは、もう逃げられないということ。



「…骸を運ぶから」

そう言って綱吉の横を通り過ぎる雲雀の瞳は、今にも泣き出しそうな悲しげなものだった。






―――
狂ってしまった彼を、もっと早く止めることが出来たなら…


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