3(駒なんだよ) ガチャと雲雀の頭に突きつけられる銃口。 雲雀の背筋が凍る。 「おい、ツナ。いい加減にしろ。」 やりすぎだと感じたリボーンは、綱吉に止めるようにと促す。 「煩いよ、リボーン。」 しかし、リボーンの言葉に従う綱吉ではなかった。 すかさず銃口をリボーンへと向け、綱吉はリボーンの帽子に目掛け一発放った。 「……チッ…」 リボーンは舌打ちをしたあと、撃ち落とされた帽子を拾う。 「…先生は黙っててくれるかな?」 先生…―― この、拳銃の腕もリボーンが指導したものだった。 「ふふっ…ねぇ、恭弥さん。あなたは一体俺のナニ?」 「…っ…ボンゴレのボス・沢田綱吉の守護者で…、そしてキミの都合のいい駒でしょ。」 綱吉の冷たい雰囲気に、一瞬言葉を失ったが必死に言葉にする。 今の綱吉の前に、ボンゴレ最強と謳われた雲雀恭弥の姿はない。 否、アルコバレーノであるリボーンでさえ今の綱吉を超えることはできないだろう。 それほどまでに、綱吉の力は強く絶大なものへと成長していた。 「うん。あなたは駒なんだよ。」 右手で口元を覆うようにクスクス笑いながら、雲雀から離れる綱吉を見て雲雀は思った。 もう、自分が愛した綱吉はどこにもいない。 そして、自分を愛してくれた綱吉も…。 一体、綱吉の身に何があったのか。 少しずつだった。 綱吉に変化が見られたのは。 誰も気付けないほどの変化。 イタリアに来て少したったころからだった。 あの無邪気で純粋で綺麗な綱吉は、少しずつと形を変えていった。 なんでもっと早く、 綱吉が壊れてしまう前に気付いてあげられなかったのか。 自分に、愛することを教えてくれた大切な人だったのに。 「恭弥さん、行きましょうか。」 その言葉に雲雀は、何も言わずに綱吉の後を追う。 別れを告げられた時、君が見せた涙。 それを見た時、まだ綱吉の中に、優しいあの頃のキミがいると感じることができた。信じることができた。 でも、もう…キミを感じることなんか出来ないよ…。 ――― どこいっちゃったの |