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始まる終わり



何分くらい車に揺られたんだろう

いや、何時間かもしれない


運動をして疲れたのか、いつのまにか車の中で意識を手放してしまっていた









お兄ちゃん、お兄ちゃん、




どこにいるの?お兄ちゃん






「ネネ....?」




真っ暗で、なんにも見えないの





探しても、探しても





お兄ちゃんがどこにもいないよ






[兄ちゃんはここにいるだろ?]






だめなの





どれだけ探しても見つからないの












だって、










お兄ちゃんがネネのおめめ、













くりぬいちゃったからだよ!!!!


「ッ!!!!」






「紅蓮?悪い夢でも見たのか?」



少しだけ息が乱れて、肩で呼吸をする



背中は、冷や汗をかいてじっとりとしていた




「紫苑....、なんでもない。」




紫苑は俺の顔を除くと、全く傷んでない綺麗な長髪がサラサラと肩から落ちる


「顔が真っ青だ」


そう言って、冷たい手を俺の頬に当ててくる


それに少しだけ安心して、目をつむった




すると、ゆっくりになってくる心臓の音



とくん、とくん





「紫苑、平気だよ」


「....うなされていたぞ」


「なんでもない。よく見るいつもの夢だ」


「そうか....、もう着くから、靴履けよ」


「あぁ」









最近、よく見るようになった夢




胸くそ悪い最悪な悪夢






寝られたと思ったら聞こえてくる



妹が俺を呼ぶ声





あいつはもう、死んでしまったのに






まだ俺は、過去に、ネネの笑顔に、囚われたまま






いつだって、過去は俺の足に絡みついて



俺の脳内に声が響くんだ。









明日も明後日も明々後日も一ヶ月後も一年後も十年後も





また、夢で逢いましょうーーーと。







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