RAPTORS
1
いつもと同じ様に夜明けは来る。
水平線の彼方から光が差し、大地を照らす。
そして朝を迎えた。
宿営地から少し離れた野原に、黒鷹は座っている。 一人、青い草の上。
風が黒髪をなぜていった。
「よう。こんな所にいたのか」
伸びをしながら鶸が歩いてきた。
「“こんな所”に何の用なんだよ?お前は」
振り向きつつ答える。
「多分、お前と同じ。…あ、それと側近さんが探してたぜ」
「どーせ本気で探してないからいいよ」
「言えてら」と鼻で笑って、鶸は改めて黒鷹を見た。
それは何気ない行為で、すぐに向き直る。
「…ん?」
何か違う。何が?
「んん?」
そして確認すべく再び黒鷹を見る。
「えええ?!」
何が違う?
「おま…」
「やっと気付いた」
「髪切った!?」
腰まであった黒髪が、ばっさりと。
今は肩にも付かない。
「うっわぁ〜。やっちゃった…。何?失恋?」
「お前ソレ冗談?」
「誰だ?隼か?縷紅か?俺じゃねぇよな?」
「全部却下。っていうか縷紅には茘枝がいるし」
「え?あれって公認?」
「さあ?」
要は茘枝の一方的な思い込みではないかどうか。
「いや、そうじゃなくて…ちょっとは男っぽくなるかなーと思って」
「…お前も往生際が悪いなあ」
「放っとけ」
「うーん、でも昨日の晩はまだ長かったよな?」
「夜中に切った」
「あれじゃあ結構なゴミになったろうな」
「油に浸して篝火にしたらよく燃えた」
「……あ、そう…」
やっぱり隼の言った通り、黒鷹は黒鷹だと呆れながらに思う。
「さて、戻るか」
のんびりと、黒鷹が立ち上がる。
続いて鶸も立った。
「もう準備できてるぜ。あとは先頭だけだ」
「鶸」
呼ぶと、先に行った鶸が振り返る。
「似合う?」
「…それ以前にちょー違和感ある」
「何だよ、それ」
悪態を付きつつも、仲間の元へ向かった。
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