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RAPTORS

 東軍に紅色の髪を持つ人物が居たのは、後にも先にも縷紅一人だけだろう。
 紅い髪は天の種族にだけ、時に現れる。大抵の人は茶髪か金髪だ。
 それ故に、紅い髪は「不幸の前兆」と忌み嫌われてきた。
 縷紅が捨てられ、それもわざわざ“殺されるように”東軍の門前に置かれていたのはその為だ。
 東軍には地の民、特別に天を憎む者が集まっている。
 彼らが八つ当たり的に天の人間――乳児を殺そうとした事は想像に難くない。
 それを止めたのが董凱だった。
 お陰で、縷紅は董凱の手によって、東軍の中で育てられた。
 無論、殺そうとしたぐらいだからそれを快く思わぬ者の方が多かった。
 紅髪(あかがみ)という仇名はそんな者達によって作られ、差別的に使われていた。
 しかし縷紅はそんな事を気にする質ではない。それは董凱譲りである。
 そうやって折り合いをつけながら、縷紅は東軍の中で育っていった。
 そんな中、東軍に一人の男が転がり込む。
 名は透錐(とうすい)。天に捕虜として捕まったところを逃げて来たと言った。
 彼は東軍の一員となった。
 それから三年が経ち――。
「董凱、一つお願いがあるんですけど」
 夜、暇そうな董凱を十二歳の縷紅が捕まえた。
 東軍は、力を蓄える為戦の手を休めている時期だった。
「何だ、言ってみろ」
「透錐という人がいるでしょう?相当太刀筋が良いと聞いたんですけど、一度手合わせしてみたくて」
「手合わせ?何故?」
「強くなりたいんですよ。いつか董凱を越えられるように」
「心配しなくても、お前はそれで十分強い。二十年後には超えてるさ」
「二十年後じゃ董凱の方が歳とって衰えちゃうでしょう!?」
「言うな」
 苦々しく董凱は言う。
「とりあえず、手合わせぐらいなら許してやる。噂の真相を確かめる程度だがな」



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