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RAPTORS

 司祭によれば、これが寺院にあった最後の食料らしい。
 量は少ないが、美味しそうな品々が乗ったテーブルを五人で囲む。
「司祭も城跡に来る?」
 それとなく、黒鷹は訊いてみた。
 食料も無いが、ここには既に安全性も無い。
「お邪魔ではないのですか?」
「全然。むしろ一緒に来て欲しいんだけど」
「嬉しいお言葉です」
「でも窮屈だとは思う。地下道と地下室の一部に、民の皆が入らなくちゃいけないから。それでもいい?」
「充分です。ご一緒させて下さい」
 笑って頷く黒鷹。
「それで、縷紅、今日の作戦は?」
 視線を横にずらし、訊く。
「動くのは夜半、開放してそのまま城跡に向かいましょう」
 言いながら、図面を一枚、机の上に置いた。
「これが収容所です。私が二年前に行った時の覚書ですが。監視塔が二カ所あります。鍵はこのどちらかにあって、外からでも入れます。同時に乗り込むのが良いかと」
「どのくらい人が居る?」
「常に十人程は居ますね。夜なので一階部分で半数は眠っている筈です。二階部分は仮眠や休息で二、三人、三階で監視しているのは二人」
「詳しいな。それも軍の仕事だったのか?」
「ええ。管轄内です。外に階段があります。三階から襲撃しましょう。一人でも逃がせば、私達の動向が知られて危険です。二人一組で動いて、一人が三階へ、もう一人が一階出入口で見張りを」
「了解。誰と組む?」
「俺?」
 鶸とたまたま目の合った黒鷹が自分を指差せば。
 がたん!!
 故意に、荒々しく器を置く隼。
「…隼、俺と…」
 忘れていたと、苦い物を呑んだ思いで、黒鷹が名乗りをあげる。
 それを見て、鶸が横の縷紅に、
「よーっぽど嫌われてんのな、お前」
小声で言った。


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