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RAPTORS

 王宮に来て二日目。根に来て六日目。
 黒鷹は布団の上でふやけきっていた。
「なぁー隼ぁ、ホンットに面会の予約入れてくれたの?」
「そんなに不安なら問合せたらどうだ?」
 今、彼らは総帥との面会待ちの最中である。
 何がそんなに忙しいのか、同盟という重大な話は、スケジュールの一番最後に記されたらしい。
 そんな訳で、彼らは順番待ちの間、王宮の贅沢暮らしに浸かっている。
「俺、明日には帰んねぇと、鶸に王位取られる」
「何で?」
「一週間帰らなかったら、お前が王だって言って来た」
「誰も要らねぇから、王位なんざ」
「だよなぁ。鶸も嫌がってたし」
 ごろりと、黒鷹は寝返りを打つ。
「…本当に、誰も要らねぇのかなぁ?」
「地の場合は、な。今は面倒なだけだし」
「多分今、俺隼と同じ事考えてる」
「だろうな」
 根の国――王を倒した、総帥。
 何の為に?
「お前さ、根がおかしいって思わない?」
 訊いたのは隼だ。
「おかしいって言うか…予期しない事ばかり起こるし…」
「これはあくまで俺の考えだけど」
 隼はそう前置いて言った。
「…根はどこかと戦争しようとしている…」
「えっ!?」
「少なくともこの空気は、そうとしか考えられない…」
「――じゃあ、何処と…?」
 戦をする為に、根を軍事国にする為に、王を倒した“総帥”。
「ひょっとして俺達、敵の真っ只中に居る…?」
 しばらくお互い目を合わせ、口を閉ざす。
 四面楚歌。
「…でも、まぁ、今地を攻めても領域が無いし」
 苦笑混じりに、隼は言う。
「天を倒さなきゃいけねぇんじゃない?根も地も」
「ま、その為の同盟だよな」
 強張った笑いの後、部屋の温度が下がった様だった。


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