違った物語も、悪くない。
お初(銀土)
やばいやばいやばいやばい!
初デートに遅刻って意外とやっちゃってる感じあるよね、これ!!

ユーアーレイト!

まぁ集合は10時だったし起きれると思ってた。
それがさ、まさかまさかだよね。
寝過ごして起きたの9時30分。準備を慌てて済ませても移動に30分はかかる。
遅刻決定。
最悪なパターンだ。
意外としっかりしてるヤツのことだ。10分前には来てそうだ。
あぁやばいやばい。どうしようこれ。

電車から飛び降りて階段を駆け上がる。今の時点でも10分は遅刻してる。
改札を慌てて抜け、駅前の広場のベンチに座ってる彼を見つける。
携帯の画面を見ていたが駆け寄ってくる俺に気付いて笑う。
俺はやっぱり駆け寄って謝る。
「ごめん、遅れた!……待った?」
手を合わせて謝ってから顔をあげると彼は気にした素振りも見せずに言う。
「いや、今来たところ」
そんなあからさまな嘘をついて立ち上がる。
よくある漫画の展開のようなやりとりを聞いてつい噴出してしまう。
それに気づいた彼がちょっと首を傾げる。
だから、「漫画みたいなベタな展開だから面白かったんだ」と正直に行ってみたら彼は本当に楽しそうに笑っていた。
「こういうやりとり、ちょっと夢だったかも」
彼が幸せそうだったから「遅刻しちゃって締まり悪いけど、夢の時間は始まったばっかだぜ」なんてきざなセリフを言ってみた。
「バーカ」
彼は一層嬉しそうに笑った。
遅刻しちゃった分、パフェでも奢ってあげる。マヨネーズつけて食べても文句言わないからさ、それで楽しい思い出いっぱい作らせてあげるから。
それでチャラってことにしてほしいんだけど。ダメかな?大串くん。
「まぁ次遅刻したらしょっ引くけどな、万事屋」
ちょっとからかうような様子で彼は言った。
         -fin-

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!