違った物語も、悪くない。
残暑見舞い(イザ静)
「ふわー、あっついー……」
真夏の昼下がり、うざったいヤツはクソ暑いというのに暑い暑いほざきながら俺の背中にのしかかってくんだ。

まだまだ暑いです

「俺だってあちぃんだ、ひっつくな、さらに暑いじゃねぇか、離れろ馬鹿」
押しのけようとしながらヤツの髪の毛に触れる。
無駄にさらさらしてるし。
頭を掴んで押しやるがヤツはどこ吹く風で尚更くっついてくる。
「いいじゃんー」
なんて猫みたいにすりすりすり寄ってきながら。
触れたところがかなり暑い。
まだ少し残った暑さが俺とヤツを生暖かく包み込む。
「シズちゃん、知ってる?」
「あ?うっせけぇな臨也。とっとと離れろ」
すり寄ってくる顔を無理やり引きはがそうとするが中々離れない。無駄に力あるなこいつ。
「聞いてよー聞いてくれたっていいじゃんかー」
うーうーうなりながら尚更くっついてくる。あー暑苦しい。
「暑いときには運動とかして一汗流すとマシになるらしいよー」
とヤツはニヤニヤ笑いながら後ろから抱きついてくる。
「そうか、じゃあ一人でランニングでも行って来い」
「んー一人はいやだよー」
うにうに言いながらまだすり寄る。頬に触れるヤツの頬が異様に暑い。
「暑苦しいなー…」
「ねー。暑いし運動がてら外行こうよ。アイス買って」
「それが目的で抱きついてきたんだな。お前」
「あ、バレた?」
ヤツは楽しそうに肩をすくめてまた抱きついてきた。

「俺バニラがいいなぁ、シズちゃんは何にする?」
「あー…んー…んだなぁ」
こんなに呑気に会話が出来ているのはきっと暑さのせいだと思いたい。
       -fin-

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!