違った物語も、悪くない。
笑側(銀高
笑うまで側にいるから、泣くのはやめて

笑うまで側にいる

「あっれー、高杉もしかして泣いてる?」
へらへらした笑みを浮かべながら着物の袖に手をかけつつ歩み寄ってくる銀時。
高杉は膝を抱えたまま顔をあげて、銀時を見上げる。
そして5秒程眉を顰めたままじっと銀時を睨み付け、また再び顔を腕の中に戻す。
「あり?シカト?高杉シカト?ちょいと俺泣いちゃうけどー?」
相変わらずのふざけた口調で高杉の座り込む横にストン、としゃがむ。
しゃがんだ後首を傾げながら「んー?」と唸り声を上げつつ高杉の顔を覗き込む。
覗き込まれた高杉は若干顔の向きを変えて銀時から目を反らす。
そんな高杉の様子を見て銀時が意外そうな顔をして高杉の腕の上に顎を乗せ笑う。
「ちょいちょいおにーさん、そこまで徹底的にシカトされるのは俺としても悲しいんだけどなぁ?」
そして高杉の耳元でぼそ、と呟く。
「俺、構ってちゃんだってわかってるっしょ?」
すると高杉はびくり、と身を震わせた後で尚更顔を隠す。
一度、静まり返る空間。
銀時も多少諦めたのか高杉の隣に座り高杉の体に若干寄りかかり黙り込む。
暫くの沈黙の後、銀時が少し話す。
「てめぇは一人にしろとか思ってるだろーけど、俺は違うかんな。笑うまで側にいっから。何がなんでも側にいっから」
高杉は微動だにしない。
「てめぇを一人になんてぜってぇしねぇから、覚悟しとけ」
銀時がそう言って目を閉じる。
高杉から微かな嗚咽が零れる。
「おーおー、好きなだけ泣くがいい。おとーさんはずっといるからねー」
ふざけるような口調で銀時が高杉の頭を撫でる。
「はは、お前は俺の親父でもなんでもねぇだろ」
暫くの間が空いてから高杉から微かな笑い声が聞こえる。
顔をあげた高杉が困ったような笑顔を浮かべて銀時に顔を寄せた。
「いいのいいの、今は高杉のとーちゃんだから」
銀時も同じように高杉に顔を寄せて頭を寄せ合って笑った。
「ホント、お前には敵わねぇよ銀時」
「俺は、お前には一生絶対敵わねぇけどな」
銀時がまたからかうような笑みを浮かべた。
       -fin-
「俺はな、可愛いは絶対だと思うんだよね」
「は?なんの話だ」
「いやー?高杉の笑顔は可愛いってこと」
「お前目おかしいだろ」
「恋は盲目っていうだろ?」




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