違った物語も、悪くない。
さまよいよい(銀時+桂
何も掴めやしない。何も見えはしない。
そんな俺らに残されたものって一体なんだ?

彷徨徨

銀髪の男が木にもたれ掛かって目を細めて正面を見つめる。
「銀時、どうした」
背後からやけに冷めたような声が聞こえてくる。きっと、この声は桂だろう。
銀髪の男は、目を閉じて木に頭を預ける。
「結局、俺らのしてたことってなんだったんだろうなぁ?ヅラ」
投げやりな声を出して背後に立つ黒髪の男に問いかける。
問いかけられた男は呼ばれた名前を不服そうに「ヅラじゃない、桂だ」と訂正を入れながら問い返す。
「何がだ銀時」
銀時と呼ばれた男はどこか諦めたような寂しげな笑みを浮かべつつ、桂の問いに答える。
「見ろよ、ヅラ。こんだけの人が死んでるっつーのに何も変わっちゃいねぇんだぜ」
死んだ魚の目でじっと正面を見据える。
赤黒く染まる惨状に眉を顰める。
「革命とは目に見えるものではないだろう。そう直ぐに変わりはしないさ」
桂も諦めたような目で正面を見つめる。戦場の跡が寂しく残った場所をじっと見つめる。
「結局、何にもなんねぇんだよ俺らのあがきなんざ」
ハッ、と鼻で笑い目を閉じる。
「人を傷つけた罪悪感だけが残って何も掴めも見えもしない。意味のねぇことをわざわざやってのけたもんだな」
そう呟いた銀時を桂がじっと見下ろす。
「ただ、魂の奥底がいてぇだけだ」
もう一度、銀時は呟く。
「何も残っちゃいねぇ」
「何も残らなかったな」
そして同時に桂と銀時は呟いた。
     -fin-
僕らに残された痛みだけが、ただ哀しく彷徨っている。何も残しちゃいない。

ただ単にそんな雰囲気のものが書きたかっただけです。

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