違った物語も、悪くない。
耳障り
「君の声は本当に耳障りだな」
忌々しい、と言わんばかりの声色で青年は嘲笑う。

嘲笑

そう、例えば目障りだったとか。
行動が気に食わないとか性格の不一致とかそういう簡単なもの。
後は自分にはないものを持ってるときの僻みとか妬み。そんな簡単な人間的な感情。
性格の不一致、性格の好き嫌い、人間の好き嫌い。日々の小さなムカつきイラつきの積み重ね。
それが積み重なって存在自体を認めたくなくなる。
それが憎悪、嫌悪といった類。
まぁ勿論、そんな人間を嫌う時間なんて勿体無くて使ってられないけどね。
「それでもどうしても君の存在は気に食わないなぁ」
屋上の手摺り。それに寄りかかり天を仰ぎながら青年は独白する。
正面に立つ青年に語りかけながら、独白する。
「ホント出会わなきゃ良かったよ。君が現れてから俺の心の中が荒れ狂っちゃってる。得意のポーカーフェイスも苦手になってきちゃったよ、どうしてくれんの?」
なんて、押し付けようのないことを問いかける。
「嫌いすぎて嫌いすぎていっそ愛しちゃいそうだよ。まぁそれは絶対にないけど」
一人でくすくす笑って青年は笑う。
「そんな冗談、クソ食らえだ」
天から目を離し、正面に立つ青年に聞く。
「ねぇ、そうでしょう?」
やけに優しい、歪な笑みを携えながら青年は笑う。
「だけど俺はいよいよ我慢ならなくなっちゃった。まぁアレだ、我慢の限界っていう奴だね」
両の手を広げてあけっぴろげに笑う。
いっそ、愛しくも思えるような笑みを浮かべて、コートの内側から金属を取り出す。
鋭く尖った、金属。
「俺は十分に我慢したんだ。だからもうそろそろ君が我慢するべきだと、俺は思うんだけど君はどうかい?」
ピッと、金属を突き出して小首を傾げる。
「だからさ…」
もう一度、青年は笑う。
人間離れしたような気味の悪い笑みを浮かべながら。
「消してもいいかい?」
つまりは、「生きるのを我慢しろ」。
       -fin-
「君の声って本当に耳障りなんだよねぇ」
「最初は好きだったけどさぁ、飽きちゃった」
「俺がそういう性分だって、君は知ってるよねぇ?」


なんか無性に臨也にそういうこと言わせたくなる年頃なんです。←


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