違った物語も、悪くない。
クリスマス!
「クリスマスのバイト代、ケーキ一個って安すぎない?俺、昨日犬に5回噛まれたんだけど。ねぇ、ちょっと聞いてる?サンタのジーさん」
右手に握り締めたフォークを口にくわえなおして、トナカイは文句を言った。

ちょっと遅めのメリクリスマス

サンタは白い袋の中をごそごそと漁る体制のままトナカイの言葉に返す。
「まぁまぁ、いいじゃないか。犬だって可愛いもんじゃろ」
呑気な声色でトナカイの顔があからさまにゆがめられる。
「っだー!!そーじゃねーだろ!!お陰で俺犬嫌いになったんだけど!!つーかてめぇプレゼント配り終わってる癖になんで直ぐ帰ってこねぇんだよ!!ずっと俺犬に噛まれてたんだけど!!助けてって叫んでたんだけど」
机をバン!と叩き文句をつらつらと述べる。
袋から億劫そうに顔を出しながら呑気な笑顔を浮かべたサンタはまたまた呑気そうな顔で笑い声を零す。
「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ」
いかにも愉快そうにただひたすら笑う。
それを聞いてトナカイは口元を引きつらせてケーキに勢いよくフォークを突き刺して小さく呟く。
「………いつか形勢逆転してやる…!!」
乱暴にグサグサ刺しながらひょいひょい口の中にケーキを放り込む。
「今に見てろよサンタのジジィ」
サンタに聞こえない大きさの声量でトナカイは舌打ちをした。
毎年毎年恒例のプレゼント配り。
そしてプレゼント配りの後の恒例のトナカイの愚痴。
もう既に軽く10回は越えているがトナカイはアルバイトをやめようとしない。
サンタはサンタでトナカイが自分の寝首をかこうとしてるのを知りながらも雇うのをやめない。
一年に一度のクリスマス。
一年に一度のアルバイト。
中々二人とも楽しんでいるのかも知れないが、その真意は測りきれない。
---よいクリスマスを!
          -fin-
「全く、トナカイをいじるのは楽しいわい」
サンタは優しい笑みを浮かべながらケーキを食べていた姿勢のまま眠りについたトナカイに毛布をかける。
「楽しすぎてちといじめすぎてしまったがのう。全く反応も可愛いと来たら」
トナカイの隣に小さなプレゼントを置いて耳元で囁く。
「メリークリスマス」


アルバイトトナカイ君と呑気でちょっとSっ気の出てきたサンタさん。トナカイ君がちょっと不満を零したりしてたら可愛いなぁと思いました(笑)
日記ネタから発展。ちょいと短いけども満足です(笑)



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