違った物語も、悪くない。
人事(臨也と帝人
「結局はそんなモンだよ、帝人君」
ニヤリ、そう形容するのがぴったりな冷酷な笑みを浮かべて臨也は笑う。

所詮人事他人事

「不幸を呪うのは良くないね。実に良くない。何故かって?呪ったところで意味がないからだよ。帝人君は自分が不幸だと思ってるかも知れないがそれは虚構だ。偽物だ。君が不幸?笑わせるなよ」
捲り上げるように言葉を紡ぎ、帝人の反論を許さない。
口は笑みを浮かべたままで冷酷な目つきのまま帝人を見下ろす。
一方の帝人は悔しそうに、臨也を睨みつける。身長的に見上げる形になっているが、精一杯の強い眼力で臨也を睨む。
じっと、じっと。
その視線を軽くかわして、また笑う。
「君は幸福だ。悩めるだけマシだと思いなよ。本当の不幸っていうのはね…」
一息。
その後、大きく息を吸って今まで以上の声音で帝人に言い放つ。
「紀田君や杏里やシズちゃんやセルティも誰もいなくて信じられるものもなくて独りでいるなんてもんじゃないんだよ!お金がないだの浮気されただのそんな小さな不幸だって積み重なれば幸福だ。考えてごらん?不幸なことがあったって時間が経てばもう不幸じゃないだろう?逆に不幸のおかげで幸福にさえなりえるんだ。君が今不幸だって思ってるのも所詮は気の迷いだよ」
くすくす、と軽く笑いを零して帝人の身長に合わせて腰を屈める。
「まぁ?俺にとっちゃ君が不幸だろうがなかろうが所詮他人事だから構いやしないんだけどね」
「他人事って………!!」
やっとの帝人の反論。
眉を下げ、呆然とするような声色で臨也に言う。
「原因は俺かもしれないけどさ、結局俺は君が不幸になるように仕向けただけさ。俺は、何も悪くない」
けらけらと憎たらしい笑みを浮かべて人として最悪なことを口にする。
「ほら、よく言うじゃない。”他人の不幸は蜜の味”ってね。ホントかどうか確かめたかったんだよね」
くるくる回りながら臨也は笑う。
「でもそんないいもんじゃないね。面白くもなかったや」
先ほどと同じ笑みを浮かべて、冷たく言う。
「君にはもう用はないかな」
その冷たい笑みを見ながら帝人は思う。
---この人はどこまでも人外だ。人をなんとも思わない、そんな人以外のものだ。
そんなことを頭の隅で思えば心を読んだかのように臨也が返す。
「まぁ今更そんなこと思ったってもう遅いんだけどね」
                -fin-
所詮他人事、俺は帝人君がどうなったって知らないよ。

そんな人外な彼が好きです。


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