違った物語も、悪くない。
見ててよね(藤アシ
「笑えよ!笑えばいいだろッ………!!」
そう彼は顔を真っ赤にしながら目を反らしつつ言った。

相思相愛

最初から無理だと思ってた恋だった。
あえていうなら100%叶わない恋。
形として文にすればまだ格好のつく文字だが実際の立ち位置はただの友人で、切ないものでしかなかった。
その場の勢いで告白したのだって、した瞬間に後悔した。
それがまたかの大逆転。

「アシタバ、好きなんだけど」
「え?うん、僕も好きだよ」
いつもと同じ笑顔のまま返された言葉。
それはあまりにも自然すぎて思わず聞き返す。
「は?」
「え、藤君のこと僕も好きだけど?」
よくある天然返しかとも疑うが、直ぐその可能性は打ち砕かれる。
「前々からさ、藤君のこと好きだったんだ。一目ぼれっていうのかな?気持ち悪いって思われそうだから隠してたんだけど………」
照れくさそうにそう笑いながら言うアシタバは紛れもなく藤本人が好きだった少年で。
「っ〜………んだよそれ……!!」
思わず藤はしゃがみ込む。安堵と、歓喜で。
「ふっ………藤君っ…?」
急にうずくまった藤に驚いたのか駆け寄ってくるアシタバ。
嬉しさのあまり少し涙が出ている今、あまり見られたくないと思うがもう今更どうなったって良い。
「アシタバ」
涙に濡れた顔を上げてアシタバの顔を見れば驚いたように目を点にするアシタバ。
「ふ、藤君泣いてる………?」
「うるせぇ。アシタバ、今日からお前は俺のモンなんだよな?」
事実を告げられ一蹴しながらの確認。
「え?………う、うん…」
ちょっと困りつつも返してくる言葉。
安心のあまりにまた俯いて息をついてみればアシタバが笑いをこらえるようにする。
「もしかして…藤君照れてる?」
「うっさい。俺だって不安に思ってたんだっつの。笑いたけりゃ笑えよ、気が済むまで泣くから。だから目を離すなよ。絶対お前は俺のモンだかんな」
そう顔をあげて、アシタバを指差しながら言ってみれば困ったようにアシタバは笑う。
「うん、分かった。だからさ、藤君も僕のことちゃんと見ててね」
藤と目線を合わせるようにしゃがみ込みながら言うアシタバ。
「……………お前って意外と積極的だよな…」
藤はただ一人しゃがみ込みながら、視線を地面に落とし腕で顔を隠しながら小さく呟いた。
「つか目ぇ離すつもりなんてさらさらねぇよ」
        -fin-
とりあえず書いてて楽しかったのは覚えてる。おぼろげに。笑


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あきゅろす。
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