ボンゴレプロダクション!
ボンゴレプロダクション!4
「えぇーでは!今回は今を時めくトップアイドル雲雀恭弥さんと綱吉さんに来ていただきました!」
司会がニコニコとした笑みを顔に貼り付けながら紹介する。
雲雀は飄々とした雰囲気で適当に挨拶をして、カメラに笑顔を向ける。沸く会場。綱吉の青筋が立つ。
一方の綱吉は不機嫌さを隠すこともせず舌打ちをして適当な挨拶をする。そしてあろうことかカメラを睨む。
冗談交じりに「雲雀と一緒に紹介されるのって嫌ですねー」とか言ってみれば雲雀がニコニコと肩に手を置いて耳元で囁く。
「君、その不機嫌さやめてくれない?」
「じゃー今すぐ収録現場から消えろ。てめぇと同じ空気を吸ってると思うと虫唾が走る」
こそこそと脇で会話している二人。収録丸無視である。
「じゃあもっと僕の息吸えば良いよ」
顔をぐっと近付けて笑ってみれば綱吉はあからさまに嫌そうな顔をして雲雀の顔を押し返す。
「うわっ、やめろバカ!寄るな!雲雀臭が移る!」
「雲雀臭って何さ。バカじゃないの?」
はん、と雲雀が鼻を鳴らす。綱吉はますます怒りを露わにして雲雀より少し小さい身長を精一杯伸ばし雲雀につかみかかろうとする。
司会のアナウンサーが困ったような表情で「雲雀さーん?綱吉さーん?」と呼びかけてくる。
そこを綱吉が一瞥して「ちょっと黙っててもらえますか?今雲雀君とちょっとお話してるんで」と嘘っぽい笑顔を浮かべながらアナウンサーに言う。
雲雀は雲雀でアナウンサーを見てただニコニコと笑う。
そんな収録開始時からハラハラするような会話、行動が収録されていく。
この中からいくつがオンエアされるのだろう。きっと殆どが切られ、よさそうな雲雀と綱吉の絡みだけが放送されるのだろう。
体裁としては雲雀と綱吉は喧嘩するほど何とやら、喧嘩してこその二人と中々のコンビとして出来上がっている。
勿論本人たちの意思は皆無で、だ。
本人たちとしては本当に仲が悪いので実際は良い迷惑だ。
なのに、体裁のせいでよく同じ番組に出されることが多い。そして今のように同じ類として紹介されることもしばしば。
そうすれば喧嘩が始まるということは目に見えているため、両社長もそれには困ってるようで毎回同じようにテレビを見ながら胃を痛めている。
今はまだ良いように編集されているがいつぼろが出るか分からない。そんな不安定な状況である。
「綱吉、いやだね。そんなかっかしないでよ。カルシウム取ってる?」
ニコニコとまた同じような笑みを浮かべて言う。
「おめぇはさっきからカルシウムカルシウムってどんだけカルシウム好きなんだよカルシウムバカ!!」
綱吉はまた背伸びをしながら雲雀につかみかかる。
「あぁ、もしかして君の身長が大きくならないのってもしかしてカルシウム取ってないからじゃない?」
「うっせー!身長のこと言うんじゃねぇ!!」
クスクスと雲雀が嘲るようなバカにするような笑みを浮かべて見れば綱吉はまた食って掛かる。
もう番組なんて丸無視である。台本なんて総スルーで進んでいる。
目の前に出されるカンペだって見もせずおたがいの顔を睨みあっている。
どちらかといえば雲雀の方が上手のようで何処となく雲雀は余裕そうな顔をしている。
もう収集なんてつきやしない。アナウンサーも若干あきらめた感じで二人を無視することにして強引に司会を進める。
「今日の企画は…」なんて企画説明に入ればそれを邪魔するかのように二人の口喧嘩は更にヒートアップしていく。
司会はすでに涙目である。ただただ司会は緊張なんかよりも「企画がちゃんとできるのか」という心配だけが心を占めていく。
一方ディレクターはディレクターで「まぁ面白いんじゃない?」と適当なノリでそんな二人を眺めている。
マネージャーの正一とツナはそんな映像を見てお互いに謝罪をする。
「正一君、ごめんね。うちの雲雀と綱吉が迷惑かけて…」
「いいよいいよ。綱吉君はいつものことだしそれにこれが意外と売れてるんだし」
「そういえば正一君、ユニちゃんミリオン突破だっけ?おめでとう」
「ありがとう。でもバジル君もミリオン突破したよね、おめでとう」
一通り事務所の事務的な会話を交わしお互いにお茶を飲み合う。
もう今もなお喧嘩を続ける二人を止めるなんて無謀なことはしない。
とめるなんて無駄なことだと悟っているのだ。

「だぁーかぁーらぁー!雲雀!てめぇはなんでいつもいつもいつもいつも!!俺の収録にいんだよ!!!!」
「そりゃなんでって。オファーが来たからに決まってるだろう?そんなことも分からないのかい?頭沸いたかい?」
「んなこたぁわかってる!なんで俺の出る番組とお前の出る番組は被んだよ!」
「ナイスコンビなんじゃないの?」
「っざけんな!!なんで俺がてめぇなんかと………!!」
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。深呼吸深呼吸。」
「そのすかした態度が気に食わねぇんだ!!」
「だってこういう性格だもの」
雲雀と綱吉はあーだこーだと口論を続ける。
アナウンサーはなんとか大声を張り上げて司会を続行する。
そしてなんとかVTRまでこぎつける。
「で、では!雲雀さん綱吉さん!Qをお願いします!」
そう振られた綱吉と雲雀はくるっとカメラのほうを向き息もぴったりに「じゃーVTRちゃんとみろよ」と首をかしげながら人差し指を立て言う。
そうとだけしてればかっこいいのに……という心の声をアナウンサーは隠すこともなく聞こえないようにぼそりとつぶやいた。
常にそんな収録で、綱吉と雲雀はただ延々と口論をする。
それはテレビ的にどうなんだ、と思われるのに視聴者からのウケは良い。
だからいつも一緒にされる。そしてまた綱吉は血管が切れそうな思いをして雲雀はまた仕方なしに綱吉と言い争うのだ。
                  -fin-
本当にグダグダな番組になる収録。笑
綱吉にとって雲雀はすかした嫌いなやつ。雲雀にとって綱吉はからかうのにぴったりだけど自分と同じくらい売れていてイライラの対象。
次回、アイドル編になればなーと思う。段々ツナツナ要素なくなってきたお!^^←

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