ボンゴレプロダクション!
ボンゴレプロダクション!13
「よぉー!ツナぁー!元気にしてたかー?」
手をひらりと挙げて、自分に似た少年に抱きついた。

ボンプロ!13

「あ!綱吉!元気にしてたよ〜って行ってもたかが一週間ぶりだよ?」
抱きついてきた少年を受け止めながら、首を傾げる。
同じ家に住んでいるのに一週間ぶり?と思う人もいると思うが、綱吉はぶっちゃけ忙しい。朝は3時に家を出て、帰宅は12時を過ぎる。
一方のツナも忙しい。ツナの担当の雲雀が右肩上がりで人気が出ているいるせいともいえる程のどたばたぶりだ。朝早く出て、夕方に帰り疲れたといって眠りこける。
そんな生活が一週間ほど続いたのだ。同じ家にいても、顔をあわせる時間などこれっぽっちもなかったのである。
「ばぁーか!お前一週間っていうのは超なげぇんだぞ?24×7だぞ?俺寂しくて泣けるわ」
冗談を言うように目を細めてツナを見る。
「えー!そんな泣かないでよ〜最近綱吉絶好調だね!この前のドラマ見たよ!」
「そーかー?俺全然あれ乗り気じゃなかったんだよね〜白蘭のアホが雲雀との共演持ってきたときマジで地球崩壊させたいと思ったわ」
「あははは!そうだよねぇ〜恭弥も言ってたよ。”綱吉とやるなんて地球が滅んでも嫌だ!”って」
ツナが雲雀の真似しながら(厳密に言えば指で目を細くしていた。なんて小さな頑張りだろう)笑う。
綱吉は「雲雀なんて奴呼び捨てにしてんな」とぶつくさ言いながら、ソファーに座り込む。
「っつあーもーやんなっちゃうーマジ俺何してんだろー」
髪の毛をかき乱しながら、ため息をつく。
「つーかさー、ぜってぇこれあの爺の策略だよな。なんで俺はツナと一緒じゃねぇんだっつの」
「仕方ないじゃない。じいちゃんがプロダクション立ち上げたときもう既に綱吉はミルフィオーレに入っちゃってたんだから」
お茶を差し出しながらツナは笑う。心なしか残念がるようにも見える笑みだ。
「だってあそこに入れって履歴書送ったの爺だぜ?ぜってぇ立ち上げる気はあったのに俺とツナを離すために履歴書送ったんだろ」
「まぁまぁ。でもさぁ、まさか合格するとはね〜」
思い出すように綱吉がいえばツナは少し誇らしげにも聞こえる口調で言う。
それに鼻を鳴らしながら綱吉が笑う。
「アホ。この俺が合格しねぇっていうワケがねぇだろ」
「まぁそうだね〜綱吉かっこいいもんね」
「移籍して〜。白蘭が社長って時点で終わってるもん」
ツナの持ってきたお茶をすすりながら、ため息をつく。
「思えば綱吉が芸能界に入ってからもう5年なんだねぇ」
「まぁな。ちっちぇえころの俺純粋だったからなぁ。やっぱ爺のこと尊敬してたんだろうな。今は全然だけど」
苦笑いを零しながら、ソファーに体を預ける。
ツナは、それを見て満足そうに満面の笑みを浮かべる。

―5年前―
「クソ爺クソ爺ー」
「爺とは失敬な!じいちゃんと呼びなさい!綱吉」
「じいちゃんそれあんまり意味変わってないよー?」
5年前ころの綱吉とツナが仲良く手をつなぎながらプリーモの前にあゆみよってくる。
「あ、そうそう綱吉。じいちゃんなーこの前あるプロダクションのオーディションあったから応募してみたんだがなー、そしたら一次試験受かっちゃった☆今度面接行って来い」
新聞から目をそらさず淡々と事実を述べるプリーモ。
「はぁあ?何言ってんの?いよいよ妄想を現実に連れてきてるんじゃねぇ?大丈夫かぁ?」
「綱吉もルックスだけはいいからなぁ。お前のルックスは生かすべきだ。っつーワケで、お前、芸能人やれ。まずは面接だ」
「なんか唐突すぎてよくわかんないね綱吉」
「あぁ。だが俺にでもわかるのはクソ爺がやらかしたっつーことだな」
綱吉が腕組みしながら呆れたように肩を下げる。
「でも綱吉凄いねぇ!芸能人だってー!!」
ツナが目をきらきらさせながら、綱吉を見上げる。
「でもな、ツナ。問題があるぞ。面接だ。俺、面接受かる気はしねぇんだよなー」
「あぁ、それは私も思ってな。いいこと考えたんだ。ツナ。お前面接受けて来い」
綱吉が頭をかきながら言えばプリーモがそれに同意し、ツナをも巻き込むことを言う。
「は?」
さすがのツナも目を瞬かせる。
「いい考えだと思わんか?お前ら双子なんだから別人だと気づかれることはない。それでいてツナなら礼儀作法もしっかりしてるしま、いけるだろ☆」
「なんかさー、”ツナなら礼儀作法も”って言われるとまるで俺に礼儀作法がないみたいじゃねぇか」
「え?だってそうだろう」
プリーモが真剣な顔して綱吉を見つめる。綱吉が口元を引くつらせながら拳を振り上げる。
「おー喧嘩売ってんだな。上等だ。買ってやる。おら、面貸せ」
「まぁまぁ!怒んない怒んない!ね?」
ツナが綱吉を羽交い絞めにしながら苦笑いする。
「でも俺が面接って…大丈夫なのかな?」
「ツナが良いんなら行って来いよ。どうせ落ちるだろうし」
「えー!それ酷いー!俺が落ちるって言いたいのー?」
「ツナ緊張しすぎて絶対失敗すっかんな」
綱吉がからかうように笑う。ツナはそれを見て、怒ったように頬を膨らませる。
そんな感じで、綱吉の芸能生活は幕を開けたわけである。

「まさかそれでツナが受かるとは思わなかったわ。俺」
「えへへへ!どうだ!俺を舐めるんじゃないよ!」
「はいはい」
今度はおせんべいを持ってきたツナ。それを取って一口かじる綱吉。
「明日、俺オフなんだけどツナは?」
「俺はねー午前だけ仕事あるよー」
「じゃー午後から遊ばねぇ?」
「あ!いいね〜遊ぶ遊ぶ!」
ツナが目を輝かせながら、綱吉のまん前に座る。
「どこに行く!?綱吉!」
それを見ながら、綱吉はいつもの悪魔みたいな顔の欠片も見えない笑顔を浮かべた。

「正チャン」
「なんですか?」
「綱吉クンって面接のとき、別人みたいに良い子だったよね。今の欠片もないよね」
「あぁ、だってアレ、ツナ君ですもん」
「え!?」
「まぁいわゆる替え玉ですね」
「うっわー、合格にするんじゃなかったー騙されたー」
「明後日綱吉君のライブあるんですけど綱吉君明日リハ来ますかね?」
「来ないと思うよーあの子まともにリハしたことないし。まぁなんとかなるんじゃない?」
「社員も社員だけど社長も社長だよね!あっはっは☆!!」
              -fin-


[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!