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君に捧ぐ
20




東吾 side


大した興味も無いが適当に付けたテレビをただ見つめていた。

不意に後ろから気配がする。


「流唯ー?また頭拭いてないでしょ。風邪引いちゃうよー。」

「ちょっと拭いた。」


若干目を逸らしながら答える目の前の猫ちゃんは同室者兼俺の可愛い弟のようなものだ。

まぁそこにあるのは家族愛なんかじゃ無いけど。


はい座ってー。と言えば素直に俺足の間へ来るこの子が愛おしくて仕方がないのだ。
甘い香りのする流唯に手を出してしまわないよう理性を総動員させ余裕の笑みを浮かべながら髪を優しくタオルで拭く。

毎晩毎晩天国と地獄を同時に見ているような気持ちになる。
それでも止められないのはこんなに無防備な流唯をこんなに近くで見れられるのは俺しかいないという独占欲のせいだろう。

「ふぁ」

「寝たらデザート食べれないよー?」

「寝ない。」


ぐっと奥歯を噛み締めあくびのためにうっすらと目に涙をためながら振り向かないで欲しい。

俺の理性をなんだと思ってんだ。
既に限界越えてるからな?手を出す出さないのギリギリのラインで踏ん張ってるんだからな??


これを分かってくれるのは今の所紘だけである。


「こんくらいかなー。お利口さんでした。」


ある程度拭けたのでうつらうつらしている流唯のわき腹をちょいとつつき起こす。


「っありがと。東吾デザート。」

「はいはい。」


今日は俺特製イチゴソースのかかったイチゴアイス。
最近暑くなったしこんなのも良いかな、と試しに作ってみたが正解だったようで流唯が目を輝かせながらこちらを窺っている。



可愛いな、くそ。




「どーぞ。」

「いただきます。」

「ど?」

「…んまい。これまた作って。」


珍しくリクエスト。
また、という事は流唯が特に気に入った証拠だ。


「喜んで。」






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