君に捧ぐ
10
ふと聞き慣れた声がした。
見ると、生徒会室の奥にある扉からクリーム色のフワフワした髪をした、いかにも王子様な人がいる。
「悠稀(ユウキ)先輩。」
「ん、昨日ぶりだね。」
「お前ら知り合いか。」
知っている人に会い安心したのでふにゃりと笑いかける。
「わっ」
突然ぐいっと引き寄せられ気付けば会長の腕の中にいた。
アレだな。
この人はスキンシップが好きなんだな。
俺も嫌いじゃないです。
「良い匂い。」
ふと香った匂いに鼻をスンと嗅げば会長のものだと分かった。
元々鼻が良い俺はキツい匂いが駄目だ。
でもこんなに安心する匂いは初めてだった。
無意識に腕にすり寄り目を閉じた。
「っ!?」
「?」
腕に動揺が走ったので不思議に思い会長の顔を覗き見た。
真っ赤な顔の会長。
「…なんかすいません。」
気まずくなって目を逸らした。
途端に会長の抱き締める腕の力が強くなる。
「いや、良い。」
「ぶはっ!!!」
「ちょっ、蒼空!?」
蒼空の鼻から赤い液体が吹き出した。
「もー何なの!!既にCP出来上がってるの!?会長キャラ変わりすぎワロタwというかさっき流唯クン良い匂いって言った!?もう青春を謳歌してる感じ?これはもう2人で愛を育むしか無いでしょっ!!生徒会入ってて良かった!俺様(ヘタレ?)会長×黒猫系天然美形ですね分かります。ありがとうごちそうさまですっ!!」
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