君に捧ぐ
5
…会長にとってはこれが普通の挨拶なのかもしれない。
うん、そうに違いない。
会長金髪だし。
「「流唯っ!?」」
「へ。」
俺が変な風に解釈をしていると東吾がもの凄い勢いで会長を俺から引き剥がす。
次いで律が俺の額を袖でゴシゴシし始めた。
「律痛い。」
「我慢っ!」
なんか言い方がむかついたので腹に一発入れておく。
律は涙目でなんでー!?と喚いていたけどそっぽを向いて先に教室へ戻る為に歩き出す。
そんな感じで簡単に操られた俺は2人っきりになった会長と紘の会話の内容を知る事など無い。
―――――
クラスに戻ってからは大変だった。
何が大変って皆からの視線が痛い。
…なんなのこれ。
俺は知らない内になんかしたの。
「で?」
「??」
「キョトンとすんじゃねぇ!!」
「(´・ω・`)」
「ショボンとすんな!!」
東吾は後から教室に戻って来るや否や逃走をはかった俺を椅子に座らせた。
そして何故か顔を髪のように真っ赤にした東吾に怒られ今に至る。
理不尽。
どんな表情をしたら良いのか分からなくなり困っていると、後ろからガバッと軽い衝撃が。
「まーまー。そんな怒んなよ東吾。」
「紘(ヒロ)?」
俺から視線を外した東吾は俺の背中にのし掛かっている紘を訝しげに見る。
俺の味方はコイツだけだ。
思わず緩んだ口元はそのままに首を捻って振り返り紘の頭を撫でた。
「で、どうして流唯は会長といたの?」
撫でている手がビシッと固まる。
味方じゃなかった。
目が笑ってなかった。
怒ってた。
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