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君に捧ぐ
3



そう言うと思った。


だが。
猫の扱いはそこらの奴より手慣れていると自負しているため説き伏せるのには自信があった。

「生徒会に入れば授業は免除出来る。」


ピクッ


「生徒会室には寝心地の良いソファと仮眠室まである。」


ピクピクッ


「毎日高級菓子が食えるしな。」

ピクピクピクッ


「生徒会に入るか?」

「入る。」


今度は即答だった。

思惑通り。
気を抜くと上がってしまいそうになる口角を必死に宥めた。




ちなみに、さっきからピクピクしている目の前の奴に付いた猫耳は幻覚か。



「お前名前は?」

「…神崎流唯(カンザキ ルイ)。」


流唯と言うこの猫はまだ俺を警戒中のようだ。



†流唯 side



以前友人から会長には気を付けろと言われていた。
会ったらすぐ逃げろ、とも。

だが寝起きの体でそんな俊敏に動けるはずも無く、せめてもの抵抗と影に隠れてみた訳だが。


実は生徒会へ入るのを承知した事を既に若干後悔していた。

大事な友人に怒られるかもしれない。
それは困る。
アイツ等は怒らせると非常に厄介なのだ。






「…甘い。」


ふと、頬を優しく撫でた風の中に目ざとく甘い香りを見つけた。


「あぁ、これの事か。食うか?」


察しの良い会長は持っていた紙袋からワッフルを取り出してこちらに差し出す。

断る理由は無い。
なにより目の前のワッフルが食べてくれと言っている。


「食う。」

「ふっ、…おう。」


鼻で笑われた気がするけどまぁお菓子くれた訳だし良いや。


早速ベンチに座り直しいただきます。と小さく呟いてからワッフルにかぶりついた。






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あきゅろす。
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