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熱に浮かされて5◆



目をぎゅっと瞑って、与えられる愛撫に耐えていると、


「…佐助」


と、いつもより上擦った声で小十郎さんに名を呼ばれ、目を開けた。

こちらを覗き込むような小十郎さんは、先程よりも上気した息に、朱く染まった頬。
普段ならば絶対に見ることは出来ないであろう、官能的な表情をしており、心臓が飛び跳ねたかのような気がした。

目瞬きすらも忘れて、見つめていると、

とん、と小十郎さんの右手の指が俺様の唇に軽く置かれる。


「佐助…舐めてくれるか」


そう言われて、微かに残っていた理性が彼方に消え去るのを感じながら、こくりと頷いて。
小十郎さんの骨ばった太い指を、己の口内にくわえ込んだ。


「ん…っ、ふ…」


指先から舌を這わし、爪の間、関節までも唾液を行き渡らせるように、丹念に舐める。

もう三月も会えなくて、やっと会えた小十郎さん。


愛しくて愛しくて。


大好きな人の指を殊更丁寧に、舌で扱った。






「もういい、佐助」


小十郎さんがそう言って、指を俺様の口内から離し、下方に移動させ、
俺様の、堅く閉ざされた蕾に触れる。
その湿っぽい感覚に、肩が少しだけ震えた。

小十郎さんはそれを気遣ってか、確認するかのような目線を俺様に向ける。


「…へいき」


そう言って、僅かに微笑んでみせると、小十郎さんは、後孔に指を一本差し入れた。


「っ、」


数ヶ月ぶりの異物感に、僅かに眉を寄せる。
けど、まだたったの指一本。
痛みは、無い。

唾液でたっぷりと濡らしたからか、小十郎さんが中で指を動かしても、内壁が引き連れる痛みは感じない。


「…んっ」


痛みが無いと、快感を遮るものも無くて。
己の内部で動く小十郎さんの指に快楽を感じるまでに、そう時間は要さなかった。

最初は一本だった指も、今では三本にまで増えて、内壁をばらばらに擦り上げる。
ぐりっと方向を変えられ、中で指が折れ曲がった時。


「、んああっ!!」

「…見つけた」


脳天を突き抜けたかのような刺激に、目の前がチカチカと瞬いた。
何度刺激されようと慣れるはずのない快感が背を駆け上る。


「ひぅ!!っ、あぁ!」


小十郎さんが何度もそこばかり擦り上げると、言いようも無い感覚に喘ぐ声が止められない。

そこは所謂、前立腺という場所で。
男でも感じるんだと、初めて小十郎さんと身体を重ねた時に身をもって体験したのだ。
執拗にそこばかり攻め立てる小十郎さんが、とどめとばかりに爪を立てると。


「ぅ、ああぁああっっ!!」


俺様の身体は呆気なく限界に到達した。


行為を開始してから、ただの一度も触られなかった己の自身は、小さく震えながら白濁を吐き出して自分の腹を汚した。


「っ、…ぁ」


限界を迎えてすぐの身体は力が入らず、肩を揺らして息を整えようとする。

が、それを待つこともせず、小十郎さんが俺様の腹に舌を這わせ、吐き出したばかりの白濁を舐めとった。


「お前のは、甘いな…佐助」

「そ…なわけ…ない、じゃない。それより…ソレ、舐めないでって、いつも言ってる…のに」

「好きなヤツのだから、舐めてるんだが?」

「…は?」


耳に飛び込んだ言葉に聞き返すと、


「…可愛い佐助のだから、勿体無いだろう」


いやいや。
勿体無いとか、意味分かんないし。
そもそも可愛いって…。


大分息は整って、身体も落ち着いてきたってのに。
今度は頭が落ち着かなくなってしまった。


「佐助」

「え?」


頭の整理がつく前に名を呼ばれ、返事を返した途端。
小十郎さんによって十分に解かされた後孔に、熱い塊がひたりとあてがわれた。


「いいか?」


何を、と言われはしなかったが、理解している俺様はこくりと頷いた。
息は整っても、頭の整理がつかなくても。
身体の奥にくすぶり続ける快感の波だけは、小十郎さんので鎮めてもらわないといけない事だけは分かるから。

目の前の愛しい人の首に抱きついて、


「俺も、小十郎さんが…」







――――欲しい。







自分の気持ちを包み隠さず、愛しい人にと告げた。





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