熱に浮かされて4
「ん、んぅ…」
口内に絶えず与えられる刺激に、自分でも脳内が正常に機能していないことが分かる。
――腕に力が入らない。
――自分の上に覆い被さる小十郎さんからの口付けを、受け続けるしかできない。
――呼吸って、どうやってしてたっけ?
「は…っ、こ、じゅ…ろ、さ…」
息が次第に苦しくなってきたから、口付けの吐息をなんとか言葉に変えて小十郎さんを呼ぶ。
と、自分の口内を蹂躙していた熱い舌がゆっくりと離れ、最後にちゅ、と軽い音を立てて小十郎さんが口を離した。
いつから瞑っていたのか。
そろりとまぶたを持ち上げる。
「…?」
目の前には俺様を見つめる小十郎さんの姿が―――
あると予想していたのに、見えるのは天井の木目だけ。
じゃあ小十郎さんは一体どこに?
愛しい人の姿を求めて瞳を辺りに向けようとした刹那。
「ひゃうっ!!」
全身を巡った刺激に、反射的に声が漏れた。
見れば、小十郎さんの頭は俺様の胸部にあって。
…口付けによって頭が回らない時に脱がされていたのだろう。
着物をはだけさせられて、すっかり露わになった俺様の胸の飾りを舐める小十郎さんがいた。
「ち、ちょっと、小十郎さ…っあぁ!!」
乳首を甘噛みされ、思わず目を瞑る。
そんな反応にはお構い無しに、小十郎さんは首筋、肩、胸、腹、と、場所を変えながら愛撫を続ける。
ねっとりと、いつも以上に熱い舌の感触に僅かに身体が震えた。
「小十郎、さん…っ、駄目、だっ、てば…」
小十郎さん、熱あるし。
身体だって辛いに決まってる。
力の無い腕で小十郎さんを押し返そうにも、ビクともしない。
休んでないと、駄目なのに…!
しかし、
腰の奥の方で、僅かに首をもたげた快感の波に、気付けないふりはできなかった。
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