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Gift.(小十佐)
スナオナキモチ【紫羅さまより】
ー気付いた時には遅かったー…
気付くまでに時間がかかりすぎた…
こんな…あなたを失うことで気付くなんてー





ーあなたを好きだという気持ちにーー






その日、俺は大将の命令で伊達軍の偵察をするため、米沢城に忍び込んだ。




いつもその部屋の上を通るとすぐバレちゃうのに、その部屋の主は居なかった…

別の部屋、その城の主が居る部屋の上にいると、聞きたくも無い“事実”を聞いてしまった。



『筆頭ォーーー!!大変です!』


やめろ、言うな。


『Hun?どうした?言ってみろ。』


お願い。言わないで。


『小十郎様の部隊が!ー…』


ーーお願い…“嘘だ”と


言って




任務なんてどうでもいい。
とにかく一分一秒でも速く。

あなたの元へ行きたくて。


考えるよりも先に体が動いて。

あなたが居る場所に。



いつもなら体が軽いのに。
足も動くのに。
息も上がらないのに。
胸も苦しく無いのに。

ーーつらかった。



体も重くて、足も思うように動かなくて、息も上がって…


こんなにも、胸が苦しくてー…



気付いた頃には、もうその場所に近づいていた。



いきなり視界が開けて、見たことある伊達の兵士たちがそこに居た。


全員傷だらけで、血まみれで、地面に倒れてー

死んでいた。




その戦場の最前線であったであろうその場所に、あなたが居た。



みんなを守るかのように。左手に愛刀の黒龍を持って。微笑みながら


死んでいた。


勝手に体が動いた。あなたのことを呼びながら。



『旦那ァーーーーーーーーー!!!!』

あなたの元で膝をつき何度も呼んだ。


『旦那、旦那!お願い…目ェ覚まして…右目の旦那…』

倒れている旦那を起こすと、ダラリと垂れる旦那の右手。

その手に握られていたのは…

俺があげた、懐刀。
ずっと前にあげた、俺の形見。


(旦那。これあげる。)
(なんだ?…懐刀?)
(うん。刃こぼれしちゃって…使えなくなったからあげる。)
(なんだそりゃ…)
(…俺の形見だと思って、さ。)



無理矢理あげたのに…いらないって言ってたのに…

『…ずっと…持ってて…くれた…?』



大きな、ゴツゴツした右手に握り締められていた。






俺のこと考えながら死んだ?
だからそんな微笑んでる?


『ヒドイよ…俺のことわかってたくせに…』



俺は懐刀を握っている手を握った。

『…この気持ちが何なのか…知ってたくせに…』



初めて味わった感情だった。

どうすればいいのかわからなくて、自然と流れ出てくるものをこらえきれなかった。


『…っ、あっ‥だん‥な…旦…那…』


俺の目から流れ出す涙と共に、喉が潰れるんじゃないかって位叫んだ。


あなたを。



『小十郎ォーーーーーー!!!!』


ただ叫んだ。

なんでそうしたのかわからない。

けど、叫んだ。



『あぁっ、うあぁぁーーーーー!!!!!』




あなたを抱き締め、何度も何度も名前を呼んだ。


『小十郎…こじゅ…ろ…』



そして、やっとわかった。

やっと、知ることができた。






俺の本当の気持ちにーー





気付くのが遅かった。





遅すぎた。






次、また逢えたのなら、迷わずに言おう。




「ねぇ…」

「んっ?どうした、佐助。」



この気持ちを。



「大好きだよ…小十郎さん」








紫羅さまから戴きました!!

私なんかに、こんな素晴らしい小説をくださった紫羅さまは神様でしょうか…。
…神様ですね!!

佐助の切ない気持ちが伝わってきて、胸がじーんとしました。
むしろ涙ぐみました…!!

戦国の世では互いに想っても、時代が2人を引き裂いたんでしょうね…
だから、生まれ変わって幸せになるに違いないという妄想まで広げてしまいました。

紫羅さま、素敵な小説を本当にありがとうございます!!
大切にさせていただきますっ。

柑奈




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