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Gift.(小十佐)
ただ願うのは、貴方に逢いたい【相互記念、神威さまより】

―あいたい、会いたい
――貴方に逢いたい


地面には霜柱が立ち、空気は肌が痛みを感じる程に冷たく澄んでいる。

障子を開けば一面銀世界。

足跡一つない、穢れなき白がそこにあった。

俺様はそんな世界を眺めていた。…布団の中から。


「…………暇」


いや、仮にも怪我人が暇と言ってはいけない。

だが究極に暇なのだ。やりたいことは出来ないし、やるべきことはとっくに終わった。

ただ寝ているだけなんて暇でしょうがない。


「はぁ…何であんなヘマしたかなぁ」


己の力量不足だったのか、はたまた身体が限界を感じる程働かせた主のせいなのか。
俺様は今、敵の強襲を受け怪我をしてしまった為に強制的に養生を言い渡されている。

つまりは大人しく寝ていろ、と。

休みにしてくれたのは嬉しいが、とにかく暇なのだ。


「なんだかなぁ」


こういう時に…いや、こういう時じゃなくても思う。


「……小十郎さん」


遠い奥州の地に居る愛しい想い人のことを。
ここ暫く会わないうちに、奥州は豪雪に閉ざされてしまった。
容易に行くことなどできない。


「小十郎、さん」


小さく、本当に小さくその名を呼んでみる。
目を瞑り、布団の中で丸くなって、己の名を優しく呼んでくれる彼の姿を思い浮かべる。

あの低くて甘い声で囁いてほしい。

あの強くて逞しい腕で抱き締めてほしい。

あの形のよい唇で愛の言葉を紡いでほしい。

そしてそのまま……


「うわあぁぁっ!!!」


その先を想像しようとした自分が恥ずかしくなり、思い切り叫んでしまった。

顔に熱がたまるのがわかった。


「一体何考えてんのよ俺様…」


淫らな想像をしてしまった自分に自己嫌悪。

けど仕方ないじゃん!全然触れ合ってないんだから!

布団に顔を埋め、どうにか少しもってしまった熱を冷まそうとする。


「……小十郎さん、逢いたいよ」


彼の名を呟くことで心にある空虚感をなくそうとする。

だがそうする度に余計に空しさが込み上げてくる。

逢いたくて、逢いたくて仕方がない。

一体いつの間に自分はこんな寂しがり屋になってしまったのか。

絶対あの人のせいだけれども。


「早く、逢いたい」


まずは怪我を早く治そう。

本調子になれば奥州の雪だって何とかなりそうだ。

第一、奥州の雪ごときに俺様の小十郎さんへの想いが負けるわけがない。

胸中にある空しさや寂しさは苦しいけれど、貴方に逢いたいから我慢します。


「……でもやっぱり寂しい…」


そう感じながら、俺様は布団に潜った。

せめて夢の中では逢えますように、そう願いながら。





END



【夕焼け空を追って】の管理人、神威さまから相互記念にいただきました!!

…佐助が、佐助が可愛いすぎますぅうう!!!!

「小十郎に会えなくて寂しがる佐助」
という微妙なリクエストをここまで萌える小説にしてしまうなんて…
神威さまは神様です!
もう家宝な勢いで愛でさせていただきますっ!!

神威さま、可愛いすぎる佐助をありがとうございます!

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あきゅろす。
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