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こんなにも永遠だった


目を開ければ視界いっぱいに銀色が広がっていた。

こちらとあちら
隔てる一枚の薄いガラスに触れれば息を飲む、冷たい純白の境界線。


「……風邪ひくで」


かすれた声が鼓膜を震わせる。
寝てると思い込んでた烈が半身を起こし立てた肘に頭を預けていた、振り返ってそれに気付いて少し照れた。


「半裸の烈に言われたない」
「なら俺の上の服返せ」


柔らかい烈のパジャマはアタシが着たらまるでワンピース。
今はまさにその状態。
生足放り出して窓辺に立つアタシはさぞかし寒々しいのだろう。


「脱いだらほんま風邪ひくよ?」
「お前ばかやから平気やろ」
「ほな烈も平気やな」


ばかやからと付け足した。
烈は怒らんと目を細めてアタシを見て「絵みたい」と声を潜めて言うた。
窓に置いたままやったアタシの指が微かに震えて滴が流れて床を濡らす。


「……つよし、」


短く名前を読んだ。
烈は短く返事をした、柔らかく心地いい返事を。
その声に引き寄せられるように足が動く。
名残惜しそうに指先が窓から離れる。
室内との温度差で白く曇ったそこにはアタシの指のあとだけが静かに残った。


「冷たい」


知ってると言った風にアタシが笑うと烈の肩に置いた指が暖かいものに包まれる。
アタシの冷たい指と烈の暖かい指

温度差が痛くて、痛くて、


「しあわせ、」
「…ん」


冷たい指に烈の唇の感触
まるで魔法のようにワタシの指は熱を取りもどす。


こんなにも永遠だった

(降り止まない雪と彼への想い。)



世界にひとり様、提出





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