この胸いっぱいの、愛を。
2
窓からよく見えるグランウンドで、今日も練習しているサッカー部。
その中であたしの目が迷いなく捕えたのは、砂まみれで走っている柳の姿。
「柳だ」
他のことにはいい加減でも、部活だけはしっかりやる柳。サッカーしてる柳は真面目にかっこいいと思う。
「いいの?他の人にとられても」
頑張る柳につい釘付けになっていると、まこちゃんが真顔でそんなことを聞いてきた。
「なんで?」
言っている意味がわからず首を傾げる。
まこちゃんから普段積極的にそういう話はしないから。
一瞬あきれた顔をしてから、「あれ」と人差し指を窓の外に向ける。
「あれ?」
視線を泳がせていると、サッカー部の練習を、というよりあれは絶対柳を、グランウンドの隅から見ている何人かの女の子たちが目に入った。
多分「あれ」のことだろう。
なんでわかるかって、柳がかっこいいからに決まってる。
「やだ!」
ようやくまこちゃんの質問に答える。
まこちゃんが珍しく笑ったのに内心驚きつつ、大きく息を吸い込んだ。
[←][→]
無料HPエムペ!