この胸いっぱいの、愛を。
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「まこちゃん帰ろーっ!」
「…あんた、ついさっきまでそこで寝てなかった?」
まだ大勢の生徒が帰り支度や話をしているこの教室では、ほんの数分前まで本日最後の授業が行われていた。
あたしはいつものように夢の中だったわけだけど。
「数学は眠いんだもんー」
「いつでも寝てんだろ」
後頭部に手を当てわざと顔を歪ませながら言い訳すると、まこちゃんにすぐさま突っ込まれる。
別にいつもなんて寝ちゃあいないよ?
「まぁまぁ!寝る子は育つ!」
オー、と手をグーにして頭の上につき出すポーズをとってみせる。
「あ」
その時、窓の外を見ながらまこちゃんが呟いた。
・・・ていうかまこちゃん完全無視?
「?」
ちょっとしたダメージを受けながらも、一緒になって視線を窓の外にやってみると、彼女の言動の意味がすぐにわかった。
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