散文置き場(短編集)
願い事はただ一つ(政+漆)























「お前は短冊に何て書いた?」

「儂か?そんなの決まっておるだろう?」





七夕祭りの短冊書き。

漆黒は何を書こうか思い浮かばず隣りでさらさらと書いた政宗の短冊を覗き込んだ。


【民に幸あれ】



「ふぅ………ん…………お前らしいな」

「だろ?」

「俺は何にするかなー」

「早く書けよ、お前が最後だぞ」

「んー……………」



漆黒は頭を掻きながら筆をくるくる回して考える。



「まぁ、これか………………」

「決まったか?」

「あぁ」

「じゃあさっさと書いて笹に付けに行くぞ」



漆黒はようやく筆を走らせる。
その姿を見つめ、政宗は白紙の短冊を一枚手にした。



「…………字、汚ぇ………ま、いいか!行くぞ」

「先行っててくれ」

「あぁ…………?」



早くしろと煽っていた本人が残ることに疑問を抱いたが、
他のメンバーは既に笹の下へ行っていたので政宗を置いて行った。



「………………叶う叶わないは別にしても、願うことは自由だろ?」



政宗は筆を手に取った………………










「遅いですよーお屋形様ー!」

「すまなかった…………何事だ?」



政宗が合流すると、その場は笑い声で満ちていた。



「漆黒様は見た目が暑苦しいのでこちらには来ないで下さい」

「こちらも結構です」

「お前等より俺自身の方が暑いわ!!」



相変わらずの漆黒イジリだった。



「漆黒様がマントを広げて立っていたら日陰が出来て涼しいんじゃないか?」

「いや、黒だから熱吸収して暑いよ!」

「じゃあ、漆黒様はやっぱり夏は近寄らないで下さい」

「お前等は俺を何だと思ってるんだ!?」



漆黒の周りからメンバーが離れる。
そんな漆黒が持つ短冊には


【みんなが笑顔でいられますように】


と書かれていて、思わず政宗は吹き出してしまった。



「良かったな漆黒!お前の願い事は叶ったようだぞ」

「ちっとも良くないッ!!」



笑顔が、笑いが溢れている。

そんな些細な日常の一コマでさえ幸せだ。







願い事が星に届きますように。



叶うことを願いたい。






【この先もお前と一緒に歩んで行きたい】




















12.08.07
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七夕話。
やっつけでスミマセン。
政宗様の片恋。
書いてて切なくなった。

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あきゅろす。
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