散文置き場(短編集)
怪我の功名@(漆+佐)
※公式ブログ+ツイッターより
佐助くん、手首と腰を痛めました。

























ピンポーン







「…………」





家に行くから、と連絡は入れた。

しかしチャイムを鳴らしても応答はない。




「いるのか?倒れてんのか…………?」



合い鍵を持たない漆黒は、
コンビニ袋を提げたまま途方に暮れた。



「どうしろってんだよ…………」



佐助から腰を痛めたと連絡があったから見舞いに訪れたのだが、
部屋からは物音1つ聞こえなかった。



「………………ん?」



連絡しようと携帯を取り出すと、ようやく鍵の回る音がした。




「………ご……め………ん」

「ちょ、大丈夫かよ!?」



ギィィイっとゆっくり開いたドアの向こうから、苦痛で顔を歪めた佐助が現れた。



「電話もらった後………鍵開けとこうと思ったんだけど間に合わなかったね………」

「は!?どんだけ時間掛かってんだよ!大丈夫かよ?」

「う………ん………痛み止め飲んだから、きっと大丈夫」

「あぁ〜………ほら、中行くぞ」

「漆黒様、ゆっくり………」

「分かっとる」



漆黒は佐助の体を支えて部屋に入った。



「あー………戻る前にトイレ」

「こんなんじゃトイレも間に合わんだろ?枕元に空のペットボトル用意しとけよ」

「尿瓶代わり?ヤダよそんなの」

「漏らすよりマシだろうが」

「漏らさないってば」

「はいはい」



ゆっくりとトイレに向かい、





「ちょ、漆黒様ッ!何すんの!?」

「何って………お前、手首も痛めてるから手伝ってやろうかと……」



便座を前にして、ジャージの中に手を入れてきた漆黒に佐助は焦った。



「いいって!座らせてくれたら自分で出来るから」

「座るよりこのまました方が楽だろう?」

「楽だけど、こんなの恥ずかしくて………ヤダよ」

「………そうか、すまん………終わったら呼べよ」

「うん………」



顔を赤くさせて睨む佐助に漆黒は我に返った。



「逆の立場だったら俺でも嫌だな………」



不自由な身体で十分情けないと感じているところへ、用を足す手助けをされて見られるなど恥辱であろう。


漆黒は反省をしながらコンビニ袋をテーブルへ置き、部屋を見渡した。



「にしても………アイツ、大丈夫か?」



いつもならばある程度は片づけられている部屋。

しかし今日は脱皮したように落ちている服やジーンズ。
ベッドサイドや枕の周りには、
リモコン・携帯・薬に湿布
ペットボトルに食べ物、漫画本にゴミ……



「手の届くトコにみんな集めたな」



巣と化しているベッドに容体の悪さが垣間見えた。



「ん?終わったか」



トイレの流水音と、名を呼ぶ声が聞こえた。



「時間掛かったな………大丈夫か?」

「………だって………」



便座に座ったままの佐助の顔はまだ赤い。
唇を尖らせながら視線を逸らした。



「さっき漆黒様が触ったから勃っちゃって………」

「ヌいてたか?」

「ヌいてない!!勃っちゃったから時間掛かっただけで、もぉ………さっきから漆黒様、デリカシーに欠けてるよぉ」

「………す、まん………」



佐助は両手で顔を覆ってしまったので、漆黒は焦る。



「悪かった………」

「違う………せっかく来てもらったのに………俺の方が………ごめんなさい」

「いや、」

「漆黒様………」



佐助は顔を伏せたまま漆黒に縋るように腕を掴んだ。



「俺………痛くて何も出来ないし、みっともなくて辛い」

「仕方ないだろう………俺は心配でたまらん」

「ごめんなさい………」

「いいから、頼れ」

「うん………」



頬を撫でて慰める漆黒の手に、佐助も手を重ねて良くない流れを断ち切った。



「部屋行くか?」

「ぅ…………ん」



佐助は漆黒と目を合わせず、ぎこちなく便座から立たせてもらったが、隠したい股間は僅かにジャージを押し上げていた。



「平気か?」

「うん………ゆっくり、ね」

「分かっとる」

「ちょ、待ッ、痛い痛い!」

「え?どうする?」

「あっ、漆黒様、大丈夫………そのまま………あと少し」

「あぁ………」

「ん………はぁ………漆黒様………」



ベッドに横たわるのさえ一苦労で、ようやく楽な姿勢になれた佐助は安堵の溜め息をついた。



「変な声出しやがって………」

「え……?」



穏やかな表情とは対称的に、漆黒は難しい顔をしている。



「お前と初めてした時を思い出したよ」

「え!!」

「痛い痛いばっか言ってたのに、全部入ったら満足そうにエロい顔で俺を呼んだろ?」

「そ、んな」



指摘されてかぁっと顔が熱くなる。



「動くなよ………というよりは抵抗出来んか」

「ぁ……………」



ベッドに腰掛けていた漆黒は上体を捻り、覆い被さるようにキスをする。

漆黒からキスをしてくることはあまりないので佐助は驚きで体が強張ったが、抵抗する理由もなく眼を閉じて唇と舌を受け入れた。



「ん………ぁ」



漆黒の髪が首筋に当たりくすぐったいと感じたが、その感覚すら快感へと変換されていく。



「ン………ンッ!?痛ッ!!!」

「だから動くなと言っとるだろうが」

「だって、だって漆黒様がいきなり!」



突然漆黒の長い指が硬くなった股間をなぞったので佐助は身体をビクつかせて激痛に襲われたのだ。




「さっきからお前勃ちっぱなしだからヌイといてやろうと思ったんだよ」

「い、いよ!」

「こんなガチガチにさせて………どうすんだよ?」

「そ、れは………自分で………」

「利き手が不便なのにか?」

「何とかするから………」

「いつもはイカせてって強請るくせになぁ?」

「ッ…………!!」

「いいから俺にさせろ………」

「…………」



佐助はいつもと違う状況に緊張して、恥ずかしくてたまらなかった。

漆黒は抵抗しなくなった佐助に跨がり、下着ごとジャージをゆっくりずり下ろす。



「ッ…………」

「顔隠すなよ」

「ヤダ!」



赤く怒張したそれが晒されて、佐助は居たたまれず腕で顔を隠した。



「顔見せろって」

「ヤダ!」

「エロい顔してんだろ?」

「してない!」

「………じゃあ、キスするから手どけろよ」

「ッ………」



服の中に手が入り胸元を撫でる。
羞恥と快感が交錯する。


ズルいと思いながらも適わない。
ゆっくりと腕をズラして佐助は恨めしそうに漆黒を見上げる。



「………あんまり挑発すんなよ………」

「してな…………ンッ………」



もう一度キスをしながら漆黒は佐助のモノを触った。



「ハァ………」



根元から先端までゆっくりと触り、それからしっかりと握って扱き始めた。



「漆黒様………ッ」



唇を離せば、涙目で口を半開きに酸素を取り込む。



「馬鹿野郎……」



漆黒は眉間に皺を寄せ、大きく息を吐いた。



「漆黒様?」

「………位置が………悪い」



漆黒は腰を引いてジーンズの中に手を入れて向きを正す。



「え………漆黒様も勃起した?」

「聞かんでも分かるだろうが!」

「嘘………何もしてないのに?」



普段は淡白で涼しげな表情の漆黒が自分と向き合いキスをしただけで性欲を高まらせた。

そんな喜ばしい状況に佐助は眼が輝いてしまう。



「笑うな!何も出来んのに挑発しやがって俺で遊ぶな」

「笑っても遊んでも挑発も、俺何もしてないじゃん!どっちかって言うとされてるの俺だし!」

「………そうかもな」



捲られた服に露わにされた股間。
そんな姿にされている佐助は泣きそうな顔で反論するので、漆黒は落ち着きを取り戻す。



「…………まぁいい、大人しくイッとけ」

「良くない!俺だけじゃイキたくない」

「だからって今のお前に突っ込む気にはなれんぞ」

「…………じゃあ………あのさ、フェラしていい?」

「は……………?」



佐助は少し考えて提案を出す。



「俺さ、少し身体起こすから漆黒様のしゃぶらせて?」

「いいよ、俺は別にイカんでも」

「俺が良くない………やっぱり何もしてあげられないのは辛いよ」

「…………こんな時なんだから仕方ないだろうが」

「こんな時だからこそ俺のワガママ聞いて?お願い」

「ッ……………」

「漆黒様…………ね?」



トドメの一言だった。
泣き入れからの甘え。

漆黒は納得していないものの、首を縦に動かすことしか出来なかった。



















12.07.01
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佐助くんの腰痛っていつの話って言わないで(苦笑)


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