散文置き場(短編集)
ブラックチョコ(伊達武将隊)




















「おぉ、小十郎!成実!ちょうど良かった」




漆黒は上機嫌に手招きをして、2人は近寄った。




「ほい、これやる」

「え?何ですかこれ?」

「バレンタインのチョコだ」

「「えぇ!?」」



さらっと言い放った言葉に
受け取った小箱を落としそうになった。



「こ………れは、どういう意味で」

「ん?今日がバレンタインだからだぞ?」

「いやいや、そうでなくて!」



動揺して声の震える小十郎とは逆に
成実のツッコミは鋭く響いた。



「………まさか、お前達………本命か義理か、何て考えたんじゃあるまいな?」

「いや、そりゃ、義理って分かってますけど!」

「何で漆黒様がチョコを配るのか意味が分からなかったんですよ!」



引き気味の漆黒に、慌てて弁解をする。



「今は、友チョコってのを配るのが流行りなんだとおひなから勧められてな」

「はぁ………」

「お前達が喜ぶと言われたら、あげたくなるだろう?」

「漆黒様………」

「おひなの奴め………ッ」



面白がったであろうおひなを叱りたいと思いながらも、
純粋な漆黒の笑顔が眩しくて、真実を伝えられず言葉を飲み込んだ。



「ありがとうございます」

「すげー嬉しいですよ!」

「それは良かった」



誤認識とはいえ、喜ばそうとしてくれたことは素直に嬉しくて、小十郎と成実は感謝を述べた。



「そういえば、漆黒様ってチョコみたいですよね」

「あぁ〜………何となく分かる」

「どこがじゃ?」

「「色」」



2人はハモった。



「色って………」

「赤と黒なんてチョコって感じですよ」

「ブラックとミルク味ですな」

「パッケージかよ………」



ガクッと肩が落ちる。



「赤と黒って言ったら、片倉組の佐助もそうだなぁ」

「2人セットでいいんじゃないか?」

「まぁ、確かに…………」

「甘々ですもんねぇ〜」

「ねぇ〜?」



ニヤニヤと笑う



「お、お前等ッ!儂で遊んでるだろう!?」

「いやぁ〜、そんなことは」

「甘々…………ねぇ…………」

「お、御屋形様ッ!」



漆黒をからかって楽しんでいる背後に政宗の存在。
小十郎と成実は緊張で背筋が伸びた。



「おぉ、政宗!これやる」

「…………」



差し出されたチョコを前に
政宗の眉間には皺が寄っている。



「お前、何だそれ…………」

「いや、御屋形様!これは変かもしれないですが、漆黒様の思い遣りであって」

「変って何だと小十郎!?」

「あのなぁ、漆黒…………」



政宗は息を吐き出す




「見た目はブラックだけど、甘くてとろける俺を食べて♪ぐらい言わんか!このツンデレめッ!」

「はぁぁあ!?お前の脳みそは溶けとるんか!!」

「御屋形様ッ!それはAVの観過ぎですよ!」

「いや、ギャルゲーのやり過ぎでしょう!」




政宗の突飛な発言に三者三様のツッコミが入った。



「儂はお前が食べたいッ!」

「御屋形様ッ!そろそろ落ち着いて下さいッ」

















12.02.14
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ハッピーバレンタイン。
男はこの日はハンターさ(笑)

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あきゅろす。
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