散文置き場(短編集)
雪だるま(漆+佐)
2/1付けの公式ブログより妄想
「雪、すっげー!!!」
大寒波のもたらしたら積雪。
一面銀世界に佐助は興奮した。
「ねぇねぇ漆黒様!雪だるま作んない?」
「作んないッ」
佐助とは対称的に、
マフラーに顔を埋め、手をポケットの中に入れて寒さに震える漆黒。
「なら漆黒様頭でいいよ、俺胴体作るから」
「多少小さかろうが作らんッ」
「何でー、せっかくこんだけ積もってんだから勿体無いよー」
「意味が分からん」
不機嫌な漆黒よりも、佐助は雪に興味が向いている。
「じゃあ、ちょっと待っててー」
「……………」
文句の2つ3つ言おうとしたが、
しゃがみ込んで雪と笑顔で戯れ始めてしまった佐助に、口を閉じた
「…………子供か犬か」
漆黒は足踏みをして、足下からの寒さと闘いながら無邪気にはしゃぐ様子を眺めた。
「漆黒様も作りたくなったぁー?」
「ならんから、さっさと作れ」
「楽しいよー」
雪玉を転がす姿は本当に楽しそうだ。
しかし、その誘いに乗れるほど漆黒は寒さに強くない。
寒い寒いとジタバタして完成を待った。
そして、
「よっこらせっと………ジャーン!!出来たー♪」
頭を積み上げて佐助は一段と喜んだが、
漆黒はムスッとしている。
「これじゃ完成とは言えんだろ」
「何で?」
「枝2本拾ってこい」
「??」
作り終えて満足している佐助は腑に落ちないが、言われるがままに枝を探しに行った。
「ねぇー漆黒様ぁー、こんなんでいいのー?」
「あぁ」
枝を振り回しながら、雪だるまの前にしゃがんで何かをしている漆黒に近寄った。
「うぉ………アートだ」
雪だるまには目、ボタン、蝶ネクタイのような葉っぱが付けられていた。
「腕差して」
「はいはーい」
枝を「腕」と言ってしまう漆黒が可愛らしくて、佐助はニヤけてしまった。
「何だよ」
「いやぁ〜……漆黒様って、変なとここだわるよね?」
「変ってどこがだ?顔がなきゃただの雪の塊だろうが」
「うんうん♪いい感じ!ブログネタで写メっていい?」
「作ったのはお前だろ」
「完成度高〜」
佐助は嬉しくてたまらなかった。
「超すげぇ………」
「…………」
雪だるまの前に小さく丸くなり、
浮かれて撮影をする佐助を漆黒は撮影した。
もちろん本人は気づいていない。
「上手く指動かない」
「素手で遊んでたんだ、当たり前だろ」
「ブログ書けないなぁ」
佐助の手は真っ赤だ。
「書いてるの待ってたら寒くて俺死ぬ」
「俺は今暑いけどなぁ」
「風邪引くぞ」
「漆黒様も作れば身体温まったのに」
立ち上がった佐助の鼻や頬は赤みを帯びている。
漆黒はポケットから手を出し、佐助に近寄った。
「…………あったか……」
「表面はこんなに冷えてる」
両頬を手で包み込む。
温められていた大きな手のひらに
佐助は心底癒された。
「俺のこと触るなよ」
「え!?何で!」
恋しくて手を伸ばそうとしていたので軽くショックだ。
「そんな真っ赤に冷えた手で触ったら頭突きするぞッ」
「頭突きって………この落差は威力増すからズルいよー」
甘えたくて、もどかしくて佐助は眉をひそめて漆黒を見上げる。
「…………」
「え…………?」
漆黒はマフラーを外し、佐助の首に掛ける。
「…………ん………」
マフラーの端を持ったまま広げたら、簡易目隠し。
外部と遮断され、向き合えた。
誰かに見られたら、何をしているかは一目瞭然だろう。
けれど、キスは人目をはばかり交わしたい。
外気に晒され、冷たい互いの唇
けれど重なれば体温は一気に上がる。
「へへ…………」
唇を離すと、恥ずかしさと嬉しさで笑みが零れる。
「さっさと行くぞ」
「ぁ…………マフラーは巻いてくれないんだ」
「あったり前だ!俺が寒いッ」
漆黒はマフラーを巻き直しながら踵を返す。
優しさが足りないと拗ねそうだったが、「らしい」行動に笑ってしまった。
「何か温まるもん食べたいな」
「それなら白石温麺食べに行こう♪」
「つめてぇッ!!」
「あ、」
佐助は浮かれて漆黒の手を握って引っ張ってしまった。
「お前………でこ出せ」
「頭突きは無理!ごめんね!」
「待てッ」
「寒いから早く行くよー」
「ずっと待たせてたお前か言うな!」
佐助は足取り軽く先に逃げて行った。
漆黒は追い掛けたくても、風を切るのが嫌でマフラーに膨れ顔を埋めた。
12.02.04
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佐助くんと漆黒様はペアじゃなきゃ!
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