自慰@



















『その企画書が終わったら今日は上がっていいぜ』






上司から突き付けられた条件。

ラッキー♪
さっさと終わらせて帰ろう………






「って、逆に言えば………終わるまで帰れないってことだろ!?ちくしょぉー!」




すっかり夜も更けて誰もいなくなった広いオフィスで頭を掻き毟りながら叫んだ。



「はぁ…………これもあの部長のせいだよな」



冷静沈着・大胆不敵・才色兼備・眉目秀麗・容姿端麗………


ん?

外見ばかり?




「まぁ………顔はいいんだけど口と態度が悪いんだよな………」



集中力が切れてデスクに倒れこみ、視線の先にある空のデスクを見つめた。



「下々を見渡しながら、いつも偉そうに座って人を呼び付けてるよなぁ………」



立ち上がって窓際にあるデスクへと向かう。

天変地異が起こっても座ることは有り得ない。

責任も肩書きも所得税も重苦しい席………





「………何これ!?」




誰もいないのをいいことに、興味はないが好奇心に負けて腰掛けてしまった。



「うそぉ!?超座り心地いいんだけど!」



立場の違いがこんな備品にまで表れるのかと目の当たりにした。



「いいなぁ〜………ディスプレイでかいし、デスクも広いし………何やってても向こうからじゃ分からないよな」



椅子をくるくる揺らしながら自分の席との違いを探していた。



「お偉いさんってホントに仕事してんのかなぁ……………」




あちらからは何をしているのか確認は取れない。

仏頂面をして座っている部長がもしかしたら、


彼女にメールをしているかもしれない。

PSPで狩りに出ているかもしれない。

エロサイトを見ているかもしれない。

そして、自慰をしているかもしれない…………



黙って座っていれば非の打ち所のない完璧で男前な上司が、

スリルを味わうような、そんな性癖を持っていたら………


空想でしかないのに、想像をしたら






「ぁ…………ヤベ…………」




どくんと下半身が疼いた。





「あの部長が………ここで、オナニーしてたらどうしよ………」




デスクの陰で

ファスナーを下ろし

誇張した自身を握り締め

小刻みに扱き

白い欲望を吐き出していたら…………




「部長が……………」




自然と自身の股間へ手が伸びてしまう。



「ここで……………」



スラックス越しにも分かる硬くなったソレ。


夜も更けているから、
疲れてるから、
エロサイトのことを想像したから、


上司の自慰姿を妄想したことに興奮したという事実を認めたくなくて言い訳を並べてみたが、




「ち………っくしょ!」



言い訳は苦しい。

それ以上に猛った下半身の方がもっと苦しい。



「部長…………ホント、ムカつく………ッ」





我慢が出来ずに反り勃つ自身を下着から掴み出す。


座り心地の良い椅子のせいか、
誰もいないオフィスでの背徳行為だからか、
目を閉じて思い浮べるあの人のせいか…………


上下に扱く手の動きが早まってしまう。




「ぁ───────













───…………



「結局昨日は何時までかかったんだよ」

「そ、んなには…………」

「ったく、やることが遅いんだよ」



朝一番に上司のデスク前に立たされて説教。

ホントに口が悪い。




「でもよ………」

「はぁ」



夜中まで掛かって仕上げたというのにダメ出しなのかと気が滅入る。




「…………時間掛かった分、中身はいいんじゃねぇの」

「えっ!?あ、あ、りがとうございます」



褒められるとは予想もしていなかったので、全面に動揺を見せてしまった。




「フッ………さっさと戻れよ」

「あ、はい、スミマセン」


その様子を見て鼻で笑われ、手で追い払われた。



相変わらず口も態度も悪い上司だが




(ヤバイ…………)




興味のなかったあの席に、
視線が
意識が

奪われて


どくん、と下腹部が大きく脈打った。












×××××××××××××××

自慰祭第1弾
一応佐→政だけど名前は出してないので、誰を思い浮かべてもオッケー。

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