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嘘と嘘(佐+政)
Non Stop部屋『土日は会えない』番外編



















貴方の嘘は優しく


そして残酷だ─────











「そろそろ会社に戻る」

「ぁ、うん………」

「今日は悪いな………」

「いいよ………仕事が忙しいのに時間作ってくれたんだし、会えただけでも十分だよ」





短い逢瀬。

食事をして、終わろうとしている。
味なんて憶えちゃいない。

さりげなく、貴方の動作1つ1つを脳裏に焼き付けていた。




細長い指

品のある仕草

スーツが映える細い身体

口は悪いが妖艶な口元

試すような流し目




俺は冷静を装う。




その口で

その指で

そのカラダで…………




俺は心を、体を掻き乱される。







「次はちゃんと時間作るからな」

「うん」

「本当は………」

「ッ………!」



向かい合って座っている足が、俺の膝頭から内股へとなぞっていく。



「気ぃ失うくらいにセックスしてぇんだけどな」



にやりと悪戯めいた笑みを浮かべる。



「そうだね………次を楽しみにしてるよ」

「…………余裕だな」

「そう?今すぐホテルに行きたい気分なんだけど?」

「ホントかよ?」



性欲を刺激され、全身の毛が逆立つような感覚に陥っているのに、表面上は冷静を装う。





貴方と出会い、

貴方の気を引くために、

貴方が重いと感じないよう、

貴方を想い、

貴方に嘘をつく…………





「じゃあ社に戻る」

「うん………」



本当に?



「愛してんぜ」

「俺も…………」



本当に?



「またな」

「うん」



本当に…………?





左手薬指に光る指輪が
貴方の言葉の真実を曇らせる。







貴方の嘘と

俺の嘘















×××××××××××××××

浮気は疑うことばかり。
信じられないけれど、
真実を知ることが全てじゃない。

エイプリルフールに間に合わなかった・・・

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