Ss
苦くて甘い(佐+政)
「佐助、これやる」
「え?何、これ」
目の前に差し出されたのは、大きいキットカット。
見れば商品名は分かるが、理由が分からない。
「昨日パチンコ行って余り玉でもらった」
堂々と言い放つが、まだ学生の領分である。
「いくら伊達ちゃんが大人っぽく見えたとしても、高校生はまだダメでしょうが」
「別にいいじゃねぇか」
「見つかったら停学程度で済むかどうか」
チョコを差し出した逆の手で頭を掻き、佐助の小言など聞く気もないのが明らかだった。
「伊達ちゃんは全く………」
「んで、」
「あ、あぁ〜………俺甘い物そんなに得意じゃないから、旦那にあげた方が喜ぶよ」
「……………そうか」
「うん」
「じゃな」
くるりと踵を返して教室を出ていく。
「…………お前にしちゃ珍しいな」
「ん?」
「せっかくあの政宗が来たのによぉ」
「そうだね、余り玉ってことは、勝ったのかなぁ」
「…………なぁ」
「ん?」
慶次は溜め息をついた。
「お前、気付いてねぇの?」
「え?」
「今日、14日だぜ?」
「それが?」
「えぇー!!お前、月曜日で頭ボケてんのかよ?」
「何…………」
慶次は佐助の両肩を掴んで揺さ振る。
14日………2月………
「14日…………ッ!!」
「やっと気付いたか」
佐助はバッと椅子から立ち上がる。
「う、そ…………でしょ」
「真意は確かめた方がいいと思うぜ?」
カァっと赤くなった佐助は、慌てて教室を出て政宗を追い掛けた。
「伊達ちゃんッ!」
カカオ含有率80%くらいの苦い君
ミルクチョコレート並みに甘い俺
混ぜたら丁度いい甘さになるんじゃない?
「大好き!」
×××××××××××××××
ハッピーバレンタイン★
佐政に幸あれ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!