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謹賀新年(佐+政)
「明けましておめでとう♪」
「あぁ……」
辺りは真っ暗だというのに、待ち合わせ場所に行けば明るい明るい満面の笑顔がそこにあった。
「今年もよろしくねー」
「あぁ……」
あまりの寒さに口も開けたくない。
肺に冷たい空気を取り込みたくないから、しゃべりたくもない………
政宗のそんな姿に佐助は苦笑い。
「ささっと初詣済ませちゃおっか」
「あぁ…………」
ぐるぐるに巻いたマフラーに顔を埋めて、政宗はしかめっ面のまま歩き始める。
(鼻の頭真っ赤にして可愛いな)
佐助は気付かれないようにマフラーで口元を隠して微笑んだ。
───────
「結構人いるねぇ〜………」
二年詣りの参拝客が掃けるであろう深夜を狙ってきたのだが、予想以上に混雑していた。
「………あ!」
「あ?」
「ねぇねぇ!おみくじ引こうよ!」
「はぁ?………並んでるじゃねぇかよ」
「やっぱり一年の始まりって感じじゃん?」
「くだらねぇ………」
ただでさえ参拝するのに並ぶというのに、これ以上寒空で待たされることに不満が零れる。
「いいじゃん、何が出るか楽しみでしょー?」
「たかが紙切れに勝手に運勢決め付けられたくねぇよ」
言い捨てて政宗は参拝の列に向かう。
「うぉ!?」
「じゃあ、御守り買いに行こう?」
「おい!腕ッ」
ポケットに手を突っ込んでいる政宗の腕に、佐助は腕を差し込み引っ張った。
「混んでるからくっついてたって怪しまれないよ」
「だからって腕は組むな」
「…………はーい………」
「……………チッ」
「えっ!」
淋しそうに腕を抜こうとした佐助に、政宗は苛立ちを感じてその手を掴み、そのままポケットに入れた。
「いいの…………?」
「………これくらいならな………温けぇし」
照れ臭そうに唇を尖らせた政宗。
「えへへ………安産祈願の御守り買おうか?」
「はぁ!?誰が産むか!」
「産めなくてもいいから中出しさせて♪」
「テメッ………!やっぱ手ぇ放せ!」
「え〜、いいじゃん♪」
嬉しくて調子に乗った佐助は鬱陶しく、政宗は今年初の後悔をした。
この1年もこんなペースで行くような予感がした────
オマケ
「お前は家内安全の御守りでも買えば?」
「そんなの効果あるわけないじゃん!だって旦那だよ!?」
「気休め程度にはなるんじゃね?」
単細胞で暑苦しい体育会系の赤い人物を思い浮かべ、
政宗はケラケラと笑い、佐助は頭を抱えた。
11.01.01
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謹賀新年
新年一発目から、甘〜い佐政でお届けしました。
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