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淡い赤と白い月(佐→政)
空は遮るものなど何もなく拡がる
万人に隔てなくその頭上に拡がる
そう、
この空は貴方へと繋がっている──────
グラスで揺らめく淡い赤色の水面
出窓に腰掛けて空を見上げる
街灯が霞む程に明るく輝き、
部屋の床に影を落とし込む丸い月
この月を見ているか、見ていないか
街の灯りで見えるか、見えないか
どうであってもこの月は貴方の上で光り輝いている
そして、月は貴方を見ているのだろう…………
「満月ロゼ…………ね」
『ロゼワインに満月を映し、飲み干したら願いが叶う』
ゆらゆら揺らめく水面の月
この月はあの人を知っている
この月を見ていればあの人を知ることが出来るだろうか
貴方を欲しいと願ってもいいだろうか…………
貴方の白い素肌のような月と
貴方の唇、熱い舌を連想させるワイン
俺はそっとグラスに口付ける
貴方を想い、
貴方に口付けをした─────
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土砂降りの晩なのに満月話
連載『土日は会えない』の佐助だと思う
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