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キミの知らない俺(佐助ver)



















キミの知らない俺






入学式でキミを見掛けた。
第一印象は『男のくせにクールビューティ』

2度目は駅のホーム。
凛としているのにどこか儚げで、眼で追ってしまった。

3回目は探し当てた。
同じ構内にいるんだから、講義が被ったっておかしくないと踏んでみた。


形のいい後頭部を見つけた時は、堪え切れずに口元がにやけてしまった。




「初めまして」



精一杯冷静を装って隣りの席に座った。

人見知りタイプなんだろう。警戒しているのはよく分かった。


けれど、自分から話し掛けられないからこそ、話してくる人間を受け入れやすい。



懐に入り込むのに時間はそう掛からなかった。



固かった表情が次第に柔らかくなっていき、冗談を言い合えたり、

俺を挑発するような笑みさえ浮かべるようになっていった………



そして、


それが俺に対してだけなのでは?という優越感

俺だけにして欲しいという独占欲


ただの友人としての立場に不満を抱いてしまった………






「伊達ちゃん………?」




『朝まで狩りしようぜ』と意気込んでいたのに、コントローラを叩く音が消えたので様子を伺った。



「寝ちゃったんだ………」



ソファに寄りかかり、眼を閉じて規則正しい寝息を立てていた。

寝ちゃったものは仕方ないから、ソファの上に寝転がせた。



当然、平常心ではいられなかった…………



貧弱ではないが細い身体

病弱ではないが白い肌

たまに毒を吐くが柔らかそうな唇

鋭い眼光のくせに長いまつげ

噛り付けと言わんばかりのフェロモンを感じる首筋

スラリと長い四肢



俺にどうしろと言うのだ?



無防備に寝ているのが悪い?
友情を吐き違えるな?
少し触れるだけならいいか?
下心をぶつけるな?
手に届くトコにあるんだからいいじゃないか?
この距離で見つめられるだけで十分?

キミを奪ってもいい?
全てを無くしていい?





「目痛ぇ…………」



涙が出たのは、コンタクトが乾いたから。

いいだろう?

少し位は言い訳しないと自分が情けなくて仕方ない。




キミの知らない俺

キミを知りたい俺


知られることで、知ることで、

俺はキミを失うだろうか?
手にすることが出来るだろうか?



理性と欲求と恐れと自己嫌悪

渦巻く感情に俺は、


コンタクトのせいだと言い訳をしながら、もう少しだけ静かに泣いた……………










×××××××××××××××

寝込みは襲わない紳士?ヘタレ?

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