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俺の知らないお前(政宗ver)
俺の知らないお前
大学で知り合った男
たまたま取った講義で
たまたま隣に座っただけ
人懐っこい笑顔で
「初めまして」
それから何故だかツルむようになった。
気付けば時間を共有していた
一緒にレポートやったり、
一緒に飯食ったり、
一緒に買い物行ったりカラオケ行ったり………
気付けば肩を並べていることが自然になっていた。
お前の癖やお前の好み
お前の考え方やお前の行動
お前の事は分かっているつもりだった…………
そう思っていた─────
「…………ん………」
狩りゲーで盛り上がった。
盛り上がったんだが、いつの間に寝てしまったのか記憶がなかった。
ソファに寝ていて布団を掛けられていた。
いつまでも寝ていられそうな眠気を感じるが、起き上がると時計は既に昼を指している。
「ハァ………」
頭を掻きながら部屋を見渡せば、毛布に包まって足下の床で眠る部屋の主。
確か今日はバイトだか講義だかで起きれるか心配だーって騒いでいたはずだ。
「おい…………佐助」
名を呼んでみたがやはり反応はない。
「起きろよ………おい」
さすがに蹴飛ばして起こすのは申し訳ないので、ソファから降りて手で身体を揺さ振る。
しかし、猫のように丸くなったまま規則正しい寝息は変わらない。
「おい、起きろって」
「ん………」
揺すり続けてようやく反応があったが、眉間に皺を寄せて起床を拒んでいるようだ。
寝起きはいいイメージがあったが、低血圧だったんだな………
「おい………間に合うか?」
「ぅ…………ん……………」
「佐助………?」
目がまだ開かないままで、手探りで何かを探している。
「ぇ…………お前って目、悪かったのか」
机の下から見つけ出したのは眼鏡。
安易な発想だが、眼鏡を掛けたことで普段のおちゃらけた印象がガラリと変わった。
寝起きの不機嫌さも合わせて初めてみる表情だ。
「佐助?」
トイレへ、そしてキッチンへ
自分の部屋なのだから勝手気ままにしても何の問題もないのだが、
俺の存在はあるのか………?
「…………」
マグカップを口元に運びながら戻ってきた。
部屋にコーヒーの薫りが漂う。
しかし、俺の前には何もない。
「はぁ…………」
眼鏡を曇らせながらコーヒーを啜り、胃に染み渡って安堵の溜め息をつき
少しずつ不機嫌な寝起きの表情が和らいだように見えた。
「………………?」
「佐助?」
コーヒーを何口か飲み、眼鏡を上げながら俺の方を見た。
そして、きょとんとした顔が一変。
血の気が引いていくように目を見開く。
「だ、……て、ちゃん、いつから………っていうか昨日からだよね………そうだよね」
「あ、あぁ………」
「その、ごめん………あの、飲みかけで良ければコーヒーどうぞ」
「サンキュ………」
まだしっかり働いていない頭は混乱と動揺ばかりのようだ。
佐助はやらかした失態を恥じるように、手で顔を覆いながら俺の前にマグカップを差し出してそのまま反対側へと倒れていった。
「ごめん………俺、低血圧………」
赤くなった顔を隠して丸くなる
そんな姿は初めて見たが、俺は1つの感情が沸き上がってきた。
「伊達ちゃん………?」
お前の事を知りたい
知らない部分をなくしたい
全部知りたい
笑顔以外のもっと別の顔を、俺に見せて欲しい
俺の知らない、お前が、欲しい
「だ………てちゃん…………」
気付けば俺は倒れた佐助に覆い被さっていた。
俺の方を向いた眼鏡の奥にある瞳は、困惑の色を見せている
下半身の猛りは朝勃ちのせいか
俺は薄く開いた唇に吸い寄せられた………
×××××××××××××××
寝起きで無防備な佐助を襲ってみる。
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