暗闇と遮断 11



















長い、長い夢を見ていたようだ。


温かい眼差しを一身に受け、

笑っていた…………



そして今残るのは、


虚しさ…………







「────ん……………」



ゆっくりと瞳を開けると、窓の外は既に暗くなっていた。



「痛ッ………あの馬鹿力め……」



ソファーから身体を起こすと、床に打ち付けた背中や手首に激痛が走った。



「今何時だ………」



時間を確認しようとテーブルの上に置いてある携帯に手を伸ばす。



「…………」



政宗は眉間に皺を寄せた。



ディスプレイの眩しさに目が痛んだだけではなく、

不在着信も未開封メールもなかったからだ………





「佐助さん…………」



溜め息混じりで携帯を閉じると、部屋はまた暗闇に包まれた。





何故、何も連絡がないのか。
連絡出来ない理由があるのだろうか。

近くにいるのにそばにはいない。

知りたいことばかりなのに何も分からない。

あるのは不安と苛立ち。



既にあの男は佐助の元に戻っているだろう。


そう、


あの眼差しを向けられて、笑っているのは自分ではないのだ。

胸が痛む。




「情けねぇ…………」



政宗はソファーの背もたれに頭を乗せ、悲痛の声を洩らした。







『嫉妬する程惚れてんなら、男を立ててやれよ』



とある人物に言われた言葉が頭を過った………




付き合いだから
断りきれないから
カラダだけだから

愛してるのはお前だけだから心配いらない………


いつも同じことを言って女を抱いていた佐助。

男同士だから表向きは隠していた恋人関係であり、

佐助の置かれている立場や肩書きを分かっているから政宗はひたすら黙って耐えた。



しかし耐えていても、若さ故に理性より感情が勝ってしまう時はあった。

その時、話を聞いてくれていた人物…………




「久々に………会いたいな………」



政宗はもう一度携帯を開き、電源ボタンを長押しした。




二度と求めないと割り切れた過去があっても、

再び手にしてしまった温もりは容易に離せるものではない。


こんなに妬ましく醜い感情が蠢き、待ち侘びて辛い涙を流すくらいならば、



強がりだと分かっているけれど、
いっそのこと自分から遮断してしまえばいい…………






政宗は鳴ることのない携帯を上着のポケットに入れ、孤独感の充満した部屋を出た───────












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