憎悪と警告 8


















「やめろッ!」





両手が床にくっついてしまったかのような強い力で抑えつけられ、
体格差はあるにしても同じ男としての屈辱と、これから起こるであろう事態を拒絶するように、政宗は身を捩りながら目の前の男に怒声をぶつけた。



「……………」



慶次は力で捻じ伏せて、露になった政宗の胸や腹を見下ろした。



暴れる政宗と対称的に静かな慶次






チャラッ──────






政宗が動く度に首元で響く金属音。



見覚えのあるカタチ

愛しい人の首にも同じカタチ……



よく触るのが癖なのだと何の気なしに思って一緒に過ごした年月。



走馬灯のように駆け巡る過去が、一本の線でここに繋がった。




肌身離さずにいたのは恋人との思い出の品だから…………





「───────ッ」



理解した途端に、全身の毛が逆立つような嫉妬の激情が慶次を襲う。





「そういうこと……………」

「痛………ッ!」

「………上等だよ………全部………全部ブッ壊してやるよッ!!」

「や、めッ!アァッ!」






愛しい人との関係も地位も


その人が愛する男も


そして己も……………




全てを破壊する憎悪────







慶次は政宗のベルトを弛めてズボンのファスナーを下ろし、そのまま政宗の身体を反転させた。



「やめろッ!」



抵抗する政宗の頭を床に押し付けながら破れたワイシャツを剥ぎ取り、両手の自由を奪った。



弱っているとはいえ、圧倒的な力の差に慶次は鼻で笑う。



「随分立派な龍を背負ってるけどさ、こんなの伝説どころかただの飾りじゃん」

「触るなッ!!」

「っ…………」



睨み上げる片目の鋭さに手が止まってしまった。



「気安く人の背負いもん触るんじゃねぇ………!!」

「……………ははっ」



一瞬怯んでしまった慶次は笑う。



「撃たれて怖くなって、組を捨てて逃げた奴が一端にヤクザみたいなこと言うんだな」

「俺はッ」

「ホントは何人の男にこの龍を触らせたんだよ!?アンタなんかカラダだけなんだろ!?」



慶次は空いている片手で政宗のズボンと下着に手を掛けた…………











『♪♪────』




「………………」



突然電子音が響き、慶次は尻ポケットから携帯を取出し、ディスプレイの名前を確認する。




「…………佐助さん」

「ッ!!」



名前を聞き、政宗は身体を強張らせた。



「ここって盗聴器でもあるのかもな…………助けてって叫べば?」



慶次は自嘲するような表情で政宗を見下ろす。

そして、




「もしもし…………」




馬乗りになったまま、平静を装い通話ボタンを押した──────










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