照れと直球 14
過去編
「これやるよ」
佐助は小さな包みを政宗に差し出した。
「何?どっかの女からもらった物?」
「………お前ってさ、失礼だよな〜………」
政宗なりの照れ隠しだと分かっていても、佐助は苦笑いが零れてしまった。
「俺が買った物じゃなきゃお前には渡さないから」
「………開けるよ?」
照れ臭そうにしながらも、ワクワクして包みを開ける政宗。
「………わぁ!佐助さんにしてはいい選択じゃん!」
「だからお前は一言多いんだよ!」
「へぇ〜………」
「ん………………」
キラキラした瞳でプレゼントのネックレスを眺める政宗に、佐助は少し照れた。
「指輪ってのはアレだし………まぁ……迷子札にはなるだろ?」
「ありがとう!」
「ッ─────」
「ンッ」
政宗の満面の笑みが愛しくて、佐助は思わず抱き締めてしまった。
「………ちゃんと………首輪付けとかないと、あちこちフラフラするから心配なんだよ」
「ん………」
「飼い主がいるって証明が欲しかったんだ………」
「佐助さん………可愛い……」
「うるせー………」
小さな独占欲の表れは、政宗には気恥ずかしいくらいに嬉しいことだった。
────
「佐助さん!お返し」
「ん?」
数日後、今度は政宗から佐助へと物が渡された。
「虫除けにしてよ………フラフラして心配なのは俺だってそうなんだから………」
「政宗…………」
「うちの若頭は女が放っておかない色男だからさ………」
容姿や性格でモテるのは当然だが、佐助は立場上言い寄られることが多かった。
「…………お前可愛いなー!ちゃんと嫉妬するんだなー」
「するよ馬鹿!」
「馬鹿ってお前………」
「誰でもホイホイと体を好きにさせて、いつも女を侍らせてさ!」
「誰でもってわけじゃないけど………まぁ、お前可愛いから何でもいいや」
「誤魔化すなよ!実際そうだろ!」
佐助はキャンキャン喚く政宗をぎゅうっと抱き締めて喜んだ。
「政宗、ありがと………」
「ん…………」
納得していないのに、腕の中に包まれると大人しくなってしまう。
「なぁ………開けていいか?」
「あぁ………」
佐助は嬉しくて堪らなかった。
「あ…………れ?ドッグタグだ」
「佐助さんみたいに高いのは無理だったけど………どうせなら揃いがいいっていうか………」
「政宗………………」
生意気な政宗がやけに素直な一面を見せたので、佐助は胸がきゅーんとしてしまった。
「なぁ…………足腰立たなくなるまでヤッていいか?」
「ヤダよッ!浮気者!」
「はぁ!?何だよツンデレ!」
若さ故にまだまだ素直になりきれない政宗に、
愛しくて仕方なく可愛がりたい佐助。
2人を別つものなど何もないと
そう信じて疑わなかった幸せな時間だった──────
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