背中と形見  10

















「ハァ………ハァ………」

「あぁ…………ヤバイ………足腰にキタ………」




佐助は気だるい体を起こした。




クププ…………



萎えた佐助の性器を抜き出すと、白濁の液が溢れだした。



「政宗………卑猥だな……」

「中のは全部佐助さんのじゃん………ッ」



クスクスと笑う佐助に、政宗はカァッと赤くなって足を閉じた。




「ティッシュは?」

「あの机の上………」

「あぁ………」



佐助は自身を下着にしまい、ベルトを締めながら立ち上がった。




「あ〜………本気でヤバイ………膝が笑う」



佐助は腰に手を当てながら少し離れた机へと向かった。





「………佐助さん………」



その後ろ姿を見つめて政宗は名を呼んだ。



「ん〜?ちょっと待ってろ」





3本足の八咫烏………



刺青の柄にしては珍しいが、その黒い大きな羽根の下に組員達は従いついて行くのだ。



あの時は、声も手も届かなかった背中がそこにある………



政宗はあまりに嬉しくて胸が詰まる思いだった。




「どうした?」

「………幸せ過ぎて死にそう………」

「可愛い事言うじゃないか〜」

「ん………」



佐助は、眉を寄せて今にも泣きそうな顔の政宗に覆い被さり、舌を絡ませるキスをした。




「…………死ぬくらいの絶頂を一生見させてやるよ」

「2回でスタミナ切れてるくせに?」

「うるせー………今日は久々で張り切ったんだよ!………なめんなバーカ」



2人はクスクスと笑いながらキスを繰り返す。





「………これ…………」

「ん?………あぁ………」



チャラ………


政宗は佐助の首から下げられたドッグタグを手に取った。



「まだ持ってたんだね………」

「お前の形見だと思ってな………」

「そっか…………」

「女々しいか?」

「いや…………嬉しい」



2人で交換し合った、全く同じ物ではないがお揃いの物だ。





「あのさ………」

「ん〜?」

「…………付き人ずっと待たせたままだけど?」

「ぁ…………」



佐助はキスを止めて上着の上に置いた腕時計を見た。




「あぁ〜…………ぁ……」

「…………いいよ………俺、自分で処理するから」

「ん〜…………」




佐助は名残惜しくて仕方ないのか頭を掻いと考えた。



「また来る………次は迎えに来るもんだと思ってろよ?」

「………分かった………」



佐助は時計を嵌めて、シャツと上着に袖を通して立ち上がった。



「表の看板はCLOSEにしとくよ」

「ありがと…………」

「さっさと服着ろよ………裸のお前は悩殺的だ」

「ははっ………分かった………気を付けてね」

「あぁ………愛してるよ………政宗」



佐助はボタンを掛けながら、最後に投げキッスをして去って行った。




「俺も……………」




カラン────



店のドアが閉まる音を聞いて、政宗は両手で顔を覆った。



「さ………すけ………さ……んッ!」





堪えていた感情が堰を切ったように溢れ出した。




押し殺していた哀しみや愛しさ

沸き起こる不安や歓び




政宗は声を上げて泣いた…………





その日、看板がOPENに変わることはなかった─────









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