捧げ物
20万打☆雅様へ
現パロ佐→政


















いつも同じ曜日に店へやってくるあの子。



iPodを聴きながら、

コーヒーを飲みながら

いつも難しそうな教科書を広げてレポートを書いている。



俺は店員。あの子はお客。


名前なんて知らない。

年齢だって、どこの学校かだって、どこに住んでるかだって知らない。

いつも聴いてるiPodにどんな曲が入っているのかだって知るはずもない………



逆に言えば


何か知りたい。

もっと知りたい。

全部知りたい。



君のことが知りたい………








知っていることは数える程度。



コーヒーには少しの砂糖とミルクを入れること。

少し右側に頭を傾けて文字を書くクセがあること。

お金を渡す細い指先が
軽く触れたら冷たかったこと。



店員と客でしかないから、最低限の言葉しか交わさない。

けれど、そのわずかに発する言葉でも、低音で響きのある声を

耳に、頭に、カラダに記憶させる。



そんなこと知られたらただの変態って引かれるだろうな………







俺は、



キミに恋をしている











(ぁ……………)




頬杖をついて、あまり集中していない様子だったけど、

目を閉じている………


もしかしたら居眠りかもしれない。

少しでも落ち着けるように店内BGMの音量落としてこようかな。










コトン─────










本当に小さな音だった。

店の奥へ行こうとした俺が何故聞き取れたのかは、奇跡だったに違いない。




あの子の足元にはペンが落ちていた………



あぁ、何て幸運なんだろうか




俺は他の誰にも先を越されないようすぐに動いた。



君の持ち物に触れるなんて、

無防備な君に近付けるなんて、

まさか君の寝顔を間近で見れるなんて、


睫毛が長くて綺麗な顔立ち………




変態と罵られてもいい。

このままずっと眺めていたい………







そんな叶わぬ贅沢な願いを胸に秘めて、俺はそっとペンをテーブルに置いた。









「……─────ッ」






物音は立てなかったから、俺の気配で起こしてしまったのか

美しい寝顔の君は目をゆっくり開け、その瞳に俺を映した。



「あ、す、みません、ペンが、落ちてて」



驚いて目を見張る君に俺も動揺してしまった。



「あ………りがとう………」

「いえ………」







少ない言葉数でも俺には至福の瞬間。



『ありがとう』

その一言が頭にこだました。





「………寝ちまった…………」




時計を見ながら、ぼやくように溜め息をつく姿は初めてだった。

そんな姿を見て俺は浮かれていたのだろう。




「………寝てたとしても数分ですよ」

「そ………っか………」




少しだけ踏み込んで、大胆にも言葉を掛けてしまった。


どれだけ見てるんだってバレてもおかしくない発言だけど、君はホッとしたように顔を緩めた。





あぁ…………




本当に俺は幸運に恵まれた。


俺に向けられたわけではないが、柔らかい安心したほんの少しの笑顔がとても愛しい。






あと一言だけ、俺に贅沢をさせてくれ。









「コーヒーのおかわり要りますか?」










寝てたことを恥じるかのように、苦笑い気味でお願いしますと言ったキミ。

少し濃いめに煎れてこよう。


頑張る君に俺からのエール。






俺は



君に




恋しているんだ


















×××××××××××××××

雅さんから頂戴したリクエストは、
茶屋で働く佐助が常連の政宗に片恋・・・
という内容でした。

茶屋じゃないし(自爆)

勝手に現パロアレンジしてしまいました。
いかがでしょうか?

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あきゅろす。
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