捧げ物
10万打記念小説・前編
アンケート結果を元に。
純愛・ちょっと破廉恥学パロ佐政



















付き合ってみたら、思ってたのと違った。







俺は先日、クラスメートの猿飛佐助に告白された。


『男の俺にこんなこと言われたら気持ち悪いと思うけど、俺、伊達ちゃんが好きなんだ』


いつもおちゃらけてる奴が、神妙なツラしてやがった。
男前で、不覚にもドキッとしちまった。


奴と一緒は気楽で居心地いい。
空気が読めて馬鹿じゃないんだろうな。
好きかと言われたら奴とは度合いが違うだろう。

でも嫌いではないし、嫌でもないから返事はOKにしたら、


『嘘!!ホントに!?どうしよう……嬉しい』


喜びようは凄かった。
目の淵が赤くなったから、泣いたのかもな………

ありがとう、という満面の笑みに、気恥ずかしくなっちまった俺も嬉しかったのかもしれない。
こんなくすぐったい気持ちも悪くねぇ。




そして、いざ付き合ってみて、変わったことと言えば3つくらい………


1つは奴が俺を甘やかす。
あれもこれも与えてくるのだ。

『これ伊達ちゃん好きだったよね?』
『伊達ちゃんに似合うと思って買っちゃった』
『さっきの授業寝てたでしょ?ここテストに出るってさ』
『あのCD買ったけどiPodに落とす?』
『新作のお菓子食べよう!』

こんな感じだ。
面倒見のいいオカンだとは思っていたが、凄く尽くしてくる。


2つ目は、奴のスキンシップが増えたこと。
勿論幸村みてぇな過度なもんじゃない。
ほんの少し何気なく触れる程度。
別に鬱陶しさもいやらしさも感じない、何気ないのに…………


そう。3つ目は、俺が意識してしまうこと。


付き合ってみたら、思ってたのと違った。


奴は付き合ったからって少しだけの変化なだけで、格段に変わりはしなかった。
何か手を出してくるわけでもなく。
男同士で付き合うって、そういうのはないのか?


それなのに俺は………何かを求めて………

こんなはずじゃねぇ!
何で俺が………

ただのクラスメートを意識して、どんどん好きになってるみたいで………





「伊達ちゃん?どうかした?」

「な……んでもねぇよ」

「ホント?大丈夫?」

「何でもねぇって!!」

「ッ………」



伸びてきた奴の手を、思わず払い除けてしまった。

触れられることすら怖くなった?



「何でもないわけないでしょ?」

「……………」

「伊達ちゃん………?」



嫌だ…………!
こんなはずじゃねぇ!



「お前………重いんだよ」

「え────」

「あれこれ俺に尽くしてさ………」



俺は奴を傷付いた。
酷い言葉の選択だ。



「俺に気を使うだけで、お前の気持ちが少しも分からねぇよ!」

「俺は………伊達ちゃんが好きだよ!怖くて仕方ないくらい!」

「ッ………!」



奴は俺の叫び以上に悲痛な叫びを口にした。



「伊達ちゃんがOKくれたのだって本気じゃないことくらい分かってるよ!だから俺は嫌われたくなくて、飽きられたくなくて、伊達ちゃんに必要って思われようと必死なんだよ!」



泣くんじゃないのか………?



「俺は………失うのが怖くて仕方ない……ホントに好きなんだよ」

「…………」

「どうしたら伊達ちゃんも俺を本気で好きになってくれたのさ………」



奴は目を潤ませて、玉砕覚悟で俺に向かってきた。



「俺の本音をぶつけたら伊達ちゃん引くから、俺なりに考えて付き合ってみたんだよ………」

「本音って………」



泣きそうで歪んだ笑みを浮かべた。



「俺、男だもん………好きな子には欲望を抱くよ」

「…………ッ」

「ごめんね………伊達ちゃんありがとう………少しの間でも俺、幸せだったよ………」



奴は俯いた。



「俺の気持ち無視して勝手に終わらすなよ!」

「ッ!?」



胸倉を掴み上げると、今にも大粒の涙が零れそうで鼻の頭を赤くした奴が驚いた顔をした。



「俺だってお前が好きになってきて怖いってのに………何だよ勝手に………」

「え…………」

「甘やかされるだけで………何も返せねぇし………一方的でお前ズリィよ」

「伊達ちゃん………」

「どうせなら甘えてぇし………俺だって男だし………」



我ながら恥ずかしくて勢いは半減した。



「ホントに?」



トーンが上がった奴の声。
顔を向けたくなくて小さく頷いた。



「今度こそホントのOKだと思っていい?」

「………あぁ………」

「ありがとう………」

「ん………」



奴は胸倉を掴んだ俺の手を握った。



「ンッ………!?」



俺は足元を見ていたので反応が遅れた。

奴は突然キスをして、俺は驚きで奴の方を向いた。



「伊達ちゃんってツンツンかと思ってたけど、ツンデレだったんだね」

「はぁ!?」



泣きっ面のくせにマヌケなことを言いやがって、俺は拍子抜けした。



「俺、伊達ちゃんが大好きだよ」

「………ンッ!」



今度はもっと濃いキスをされた。

これくらい明確なスキンシップの方が清々する。


高まる気持ちと、落ちていく想い。



俺も奴も男なんだよな………


舌を絡めて深いキスを繰り返した──────








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